日本共産党府議団(新井進団長、11人)は5日、京都府水道事業経営懇談会が同日に「第7次府営水道事業経営懇談会提言」を山田知事に示したことについて「声明」を発表しました。
 全文は以下の通り。
「第7次府営水道事業経営懇談会提言」について(声明)
 本日、府営水道事業経営懇談会は、10月27日開催された第41回懇談会の最終審議を経て、「3浄水場接続後の供給料金の在り方について」の提言(第7次水道懇提言)を行った。
提言では、1トン当たりの基本料金を宇治系は1円引き上げて44円、木津系は8円引き下げて78円、乙訓系は7円引き下げて80円にすること、従量料金は木津系のみ3円引き下げ36円、宇治系(19円)、乙訓系(36円)は据え置くことなどが示された。
 今回の料金見直しは、「地方公営企業としての原則を踏まえつつ、可能な限り府民負担の軽減が図られることを第一に審議してきた」と提言でも述べている通り、水道事業会計の枠内、独立採算制に制約された中での検討結果である。そのため料金算定について、「府としても、更にもう一歩踏み込んだ積極的な対応を期待したい」と、府に一段の努力を求めている。
 また、従量料金については、「今後の水運用の実績も踏まえ、更に適切な料金設定の在り方について、引き続き検討が必要」、水源費の取り扱いや基本水量の在り方等については、「府営水道としての将来ビジョン(指針)を策定して今後の方向性を明らかにしていくことが必要である」等指摘している。
懇談会の審議では、知事への提言に際し、「さらなる府民負担軽減の努力を求める」付帯意見を一致して確認した。府民の料金負担軽減に向けて、府の責任が益々重大である。
 水道料金をめぐっては、高い水道料金の値下げを求め、ねばり強い住民運動が展開されてきた。また、わが党議員団は、昨年10月「府営水道料金の値上げを抑え、府民のくらしを守るための提案」を発表し、①3浄水場接続等の事業は府の負担で、②過大な水需要計画の見直し、ムダな水利権の放棄を、③市町への「カラ水量」押し付けの見直しの府民的討論を呼びかけてきた。
今回の提言は、これらを一定反映したものであるが、宇治系の料金値上げは問題であり、受水市町住民の水道料金の実質軽減をはかるため、府が積極的な役割を果たすよう強く求めるものである。
 1、この間、府営水道の3浄水場接続事業、宇治浄水場導水管更新事業、浄水場耐震強化対策事業等が進捗し、一部供用開始している。これらの事業の多くは、災害時のライフラインの確保として計画されたものであり、本来、公営企業の会計には押し付けるべきでなく、府として負担をすべきものである。
 2、基本水量の問題では、現行の供給水量は過大なもので、年々乖離が大きく府営水全体の4割強が未使用である。人口減少、節水意識の向上、節水機器の普及、環境対策の強化などによる水量の減少は、社会的な要因が大きく受水自治体だけの責任に帰することはできない。基本水量の見直しは府の責任である。
 3、水源費の問題では、今回の算定には盛り込まれていないが、宇治系に係る天ケ瀬ダム再開発に伴う0.6トン分の水利負担がある。これについては、日吉ダム0.285トン、比奈知ダム0.3トンの未利用水利権があり、この未利用水利権を天ケ瀬ダムに振り替えれば、新たな水源費負担を軽減できる。国言いなりではなく、確保している水利権の活用を図るべきである。
尚、大戸川ダム、丹生ダムの0.3トン分の水利権はすでに放棄した。これは、過大な水需要計画を見直したもので当然である。今後、発生する事業費の清算や撤退負担金が見込まれるが、府の決定によって生じる負担は、宇治系の水源費に加算すべきでない。
 4、提言では、府営水道の将来ビジョン(指針)を策定して、水源費・基本水量の方向性を明らかにしていくことが必要とされている。これらは水道懇でわが党議員が強く求めてきたものである。
将来ビジョンの策定は、安全で安価な水道水を安定的に供給するのは水道事業の使命であることを踏まえたものにすべきである。その際、地下水の活用を含め2水源の確保等、受水自治体の取り組みを尊重することが重要である。