10月17日に投開票された大山崎町長選挙は、真鍋宗平候補=大山崎明るい民主町政の会(日本共産党も参加)=が3000票を獲得し大接戦となりましたが、327票差で再選には至りませんでした。選挙戦では、山田京都府知事を先頭に「共産町政を許すな」の大合唱が行われましたが、国や府にはっきりものを言い、住民の立場で自治体運営を行ってきた真鍋民主町政の輝きを消し去ることはできません。(日本共産党京都府委員会自治体部長・池田文穂)

府に基本水量の削減を強く迫る

 選挙戦では、山田知事を先頭に「水道料金が下がらないのは町長の責任」との演説が行われました。これは、過大な府営水押し付けという知事の責任を覆い隠すもので、「水量引き下げ」を求め住民の立場で一貫して奮闘してきた真鍋町政の責任にすり替えるものでした。
 前河原崎町政が過大な府営水の押し付けにきっぱりとした態度をとれず、過剰な府営水押し付けを受け入れ続けた結果、町民は京都一高い水道料金に苦しみ、町の水道会計は累積赤字9億円と火の車になっていました。

町のたたかい水行政動かす

 「もう我慢も限界」と誕生した真鍋町政は、府に対して条例に基づき実水量に近い日量3407トンをきっぱりと申請(それまでは何年もカラ水を含む7300トンを申請)。ところが府の態度は、申請を拒否、協議のテーブルにすらつかないという高圧的なものでした。本来、自治体は対等平等であるはずなのに、「お上の言うことは黙って聞け」と言わんばかりの抑さえつけです。
 これに対し、真鍋町政と町民は、「泣き寝入りはできない」「住民の願い実現のためにはあらゆる手段をとる」と決断、裁判も含めた新たなたたかいに踏み切りました。こうした大山崎町のきっぱりとした態度とたたかいが、府南部の自治体にも影響を与え「カラ水押し付けはおかしい」とい
う声が広がり、動かなかった水行政が動き始めました。
 府の審議会「府営水道事業経営懇談会」(委員は学識経験者、消費者・関係市町長代表、府議の20人、府営水道懇)は、07年に基本料金単価5円の引き下げを答申、さらに10年2月の「中間報告」では「基本水量問題」を検討課題にあげ、乙訓系の基本料金単価をさらに4〜7円引き下げることを答申しました。
 そして選挙戦の最終盤、山田知事はついに「水道料金を値下げします」と言わざるを得なくなりました。まさに小さな町の大きなたたかいが水行政を動かしたと言えます。

暮らしを応援し財政を立て直す

 選挙戦で相手候補は「町財政、本当は赤字」と攻撃、「住民負担増なしでの財政再建」という実績を消し去ろうともしました。事実はどうでしょうか。
 真鍋町政が誕生するまでの大山崎町は、40億円にものぼる庁舎建設やインタージャンクション建設で毎年2億円の固定資産税収入を失うなど、小さな自治体では担いきれない負担を引き受け、町財政が大きな危機に直面していました。
 前町政は、こうした危機を招いた「引き受け行政」「府いいなり行政」に無反省のまま、財政危機回避策として固定資産税の引き上げ、公立保育所の民営化など福祉切り捨て・負担増で乗り切ろうとしていました。

3年連続黒字

 真鍋町政は、「自治体は本来、『住民福祉の増進』のためにある。住民負担なしで財政の立て直しこそ必要」との立場から、住民・町職員と力を合わせムダを徹底して洗い出し、財政の立て直しに取り組みました。
 その結果、基本的には住民負担増なし(公立保育園3園は維持、固定資産税は値上げせず)に財政の立て直しを進めることができ、3年連続単年度黒字、町の貯金である財政調整基金(07年に13万円に落ち込み)は7000万円まで回復しました。
 選挙戦で真鍋候補と対立した2候補も「保育園の公立3園維持」を言わざるを得なくなりました。
 真鍋町政は、住民の立場に立った財政立て直しを土台にして、介護保険料の大幅な引き下げ、阪急駅舎のバリアフリー化、学校の耐震化、子育てセンター「ゆめほっぺ」開設、町負担なしでの新中学校建設などを次つぎ実現させました。(週刊しんぶん京都民報10月31日付)