19日の2月定例京都市議会最終本会議で、市立看護短期大学の廃止条例案が共産、自民の反対で否決されました。日本共産党の玉本なるみ議員が行った反対討論を紹介します。
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 議第47号市立看護短期大学条例を廃止する条例について述べます。
反対する第1の理由は市長と佛教大学理事長のトップ会談で決定し、歴史ある市立看護短大の廃止を現場に押し付けてきたことです。4年制化と称して佛教大学に丸投げするやり方は大問題です。
 関係者にとっては、京都市立での4年制化の発展を待ちに待っていただけに、突然の廃止の提案は大変なショックでした。
 08年5月に予算化されていた「京都市立看護短期大学将来構想策定」がまとめられる前に、市民への意見募集も実施せず、議会にも報告がないまま、市長が09年3月25日に記者発表されたことは大問題です。その後も同窓会の皆さんを中心に集められた市立看護短大の廃止の撤回を求める署名は17000筆を超えて提出されていますが、この切実な声にも耳を傾けず、同窓会や学生、保護者等への説明会においても「反対意見が多くあったらどうするのか」という意見に、「説明するのみ」の一点張りの対応でした。
 さらに教授会の議事録も読みましたが、あり方の議論はほとんどされておらず、決定事項として現場におろし進めてきたことがよくわかりました。ここでも、現地現場主義はまったくない状況は明らかです。
 反対の第2の理由は、全国的な看護師不足の状況下において、看護師養成という公的な責任を放棄することです。厳しい財政状況であっても、人の命に関わる必要な予算として、何としても確保するのが市長の責任です。それを私立で4年制大学ができるから、競争を避けるためにやめるという考えはまちがっています。確かに看護教育にはたくさんの費用が必要です。私立でも苦労されている点です。したがって私立を応援することは必要なことです。しかし、だからといって、市立をやめる必要はまったくなく、看護師養成の公的な立場を堅持し頑張るべきです。「私立だと看護の道をあきらめざるを得なかった」という学生や保護者の切実な声に耳を傾けるべきです。
 市立看護短大の歴史と伝統は佛教大学に看護教員が勤務することで受け継がれるという説明の根拠も崩れていることが明らかになってきています。2月13日に佛教大学医療技術学部が開催されたシンポジウムでは看護学科を新設する二条キャンパスのあり方が主題であったのに、市立看護短大の話はまったくでなかったというではありませんか。佛大は佛大の建学精神で行うとはっきり話されています。市立看護短大の歴史と伝統を受け継ぐものではないということです。市立看護短期大学は創設後60年の歴史をもつ大学として、多くの看護専門職を輩出し、卒業生が京都をはじめ国内外で活躍しています。そのことは大きな誇りです。市立看護短期大学の廃止提案は撤回し、市立看護大学としての4年制の実現に向けて、現場の看護教職員を中心に検討をすすめることを求め討論とします。