大根炊き 右京区鳴滝にある真宗大谷派(東本願寺)の了徳寺(通称=大根焚寺)で、9日と10日の両日、大根焚きが振る舞われています。
 同寺住職の滋賀俊正(としまさ)さんは「ざっと750年前、鎌倉時代、建長4年(1252年)、親鸞が愛宕山にある月輪寺よりの帰途でこの寺に立ち寄り、村人達に説法を説かれ、村人達は感銘を受けて塩味の大根焚きを差し上げたんです。それが供養の行事として今日まで続いていると伝えられています」と話します。寺伝では、親鸞が大根焚きの返礼としてススキの束を筆代わりにして「歸命盡十方無礙光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」の名号を残し、「すすきの名号」として報恩講が毎年営まれるようになり、その時の精進料理がいつしか大根焚きとして今日まで続いているとあります。
 今年も亀岡の2軒の農家が育てた青首大根3500本が持ち込まれ、約1万人の参拝者に供養されます。大根焚きの奉仕をしている壇信徒は、「大きな鍋で昔ながらの御窯(おくど)さんを使って焚いているんですよ」と忙しく作業しながら話します。
 大阪から4人で来た女性達は、鉢に盛られた熱々の大根をフーフーと息を吹きかけて食べながら、「ほんまに、美味しい。お揚げも大根も上手に味付けもしてある」と感想を述べていました。また、地元嵐山から訪れた夫婦は「7日の千本釈迦堂の大根焚きに行きそびれて、今年はこの了徳寺さんに来ましたんです。温かいし量もタップリあるし体が芯からホカホカします」とニコニコ顔で応えていました。(仲野良典)