経営者家族間の争いなどで休業している布製かばんのメーカー「一澤帆布工業」(京都市東山区)の女性従業員ら7人が1日、同社に対し、未払い賃金の支払いや職場へ復帰することを求めて京都地裁に提訴しました。
 訴状によると、同社の経営者が7月7日、女性従業員らが働いていた同社の店舗を突然休止させ、従業員に自宅待機を命令。9月から給与を6割しか支払わず、退職勧奨が行われています。原告らは給料の全額支給と職場復帰を求めています。また、原告の1人は有期雇用で、11月に雇い止めされたため、雇い止めの無効を求めて地位確認を同地裁に申し立てています。
 会見した原告らは、労働組合を結成して職場復帰を求めてきた経過などを語り、「会社の経営は黒字で、社長の一方的な感情で店舗を休業させられました。このまま泣き寝入りして、辞めさせられるのは納得できない。私たちはかばんを作りたい。給料を支払ってもらい、再び働ける状態に戻してほしい」と訴えました。
 同社をめぐっては、01年に先代社長が死亡後、三男と長男が遺言書の真偽をめぐって対立。今年6月になり三男が会社の経営権を得ることが確定ました。原告らが勤務していた同社は、長男が主に運営していたため、三男は経営権を得るとすぐに同社を休業させました。三男は現在、別の布製かばんのメーカーを運営しています。