ずいき祭 瑞饋祭(ずいきまつり)が5日まで、北野天満宮(京都市上京区)と同御旅所で行われています。1日には、北野天満宮(本社)から獅子、太鼓や鉄杖、馬に乗った神官などを先頭に約50種類ほどの役行列が、下立売通春日通のずいき御輿(みこし)がある御旅所まで巡行します。ずいき御輿は4日に御旅所からJR円町駅付近を中心に北野本社まで巡行します。
 ずいき御輿は保存会の人たちの手によって9月1日の千日紅摘みから作り始め、各部を分担して作り、30日にずいきを収穫し、屋根を葺いて完成します。
 御輿の屋根は赤ズイキ(唐の芋)と青ズイキ(真芋)の二重屋根。四隅の赤や黄色の瓔珞(ようらく)は、小さくて真っ赤な赤ナス、五色トウガラシ、麦わら細工の三蓋松などの家紋を糸に通して作られ、すべて生もので作られています。
 屋根には水菜や真っ黒の九条ネギの種やゴマなどが敷き詰めてあります。四方の柱、四面ある欄間(らんま)、鳥居や腰板、獅子頭などは唐芋の頭芋、赤唐辛子、ミョウガ、千日紅と花、トウモロコシ、ホオズキ、南京、カンピョウ、昆布、青のり、麦、水稲など野菜ずくめです。
 保存会の方は、都市化が進んで田畑が少なくなったものの、「西ノ京の農家のみなさんがつくった野菜です」と言います。御輿は最盛期には八基もありましたが、現在は一基と子ども用の御輿が保存会の手で毎年作られ、伝えられています。御旅所前にはたくさんの屋台が出店し、賑わっています。北野天満宮の「ずいき祭」(北野天満宮・同氏子講・ずいき御輿保存会など)は、京都の秋祭りの先陣を切る祭。地元のずいき御輿保存会によると、平安時代に京の西之京神人(じにん)が五穀豊穣を感謝し、そのお礼として自分たちがつくった新穀・野菜・果実や草花などを飾り付けて菅原道真公の神前にお供えしたのが始まりだそうです。(仲野良典)