六道まいり 東山区の六道珍皇寺では先祖の精霊を迎える「六道まいり」が10日まで催されています。
 初日の7日から順番待ちする大勢の参拝者が寺院境内をとりまき、精霊を迎える迎鐘をついています。
 六道は一切の衆生が、善悪の業によって必ず至るとされる地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上界をさし、ここから解脱するのが仏の教えといいます。東山のこのあたりは昔、鳥辺野(葬送地)で、冥土への入り口(六道の辻)にあたっていたことと、小野篁(たかむら)が冥界へ出入りしていた井戸があったという伝説、慶俊僧都が作らせた鐘にまつわる伝説などから、室町時代以降に「精霊迎え」の信仰と風習が起こり、江戸時代に盛んになったといわれています。
 同寺の釣り鐘堂は四方が壁に包まれて釣り鐘が見えず、小さな穴から引綱を出して鐘をつきます。この鐘の響きは十万億土の冥界にも届いて、先祖の精霊を迎えます。つき終わって、30センチほどの水塔婆に槙の葉で水をかけて供養し、精霊が乗ったその槙を家に持ち帰って盆を迎えます。(仲野良典)
「迎鐘にこたへして来る山彦(こだま)哉」(春丸)