京都三大狂言の一つと言われる嵯峨大念仏狂言が11日、京都市右京区の清凉寺で行われ、「土蜘蛛」など3本の演目に大勢の観客が楽しみました。主催は嵯峨大念仏狂言保存会です。
 同狂言は鎌倉時代に円覚上人が庶民に仏法を説くために始めたと伝えられ、面をかぶった役者が笛や太鼓にあわせて身ぶり手ぶりだけで無言で演ずる狂言です。
 「土蜘蛛」は源頼光の病の原因である土蜘蛛を退治するというもので、土蜘蛛が大きく糸を投げる場面では、その派手さに観客も思わずため息をもらし、大きな拍手を送りました。
 京都市下京区から来た男性は「初めて見たけど、糸を投げる場面が派手でおもしろかった」と述べていました。またよく狂言を見るという女性は「しゃべらない狂言は初めて見た」と喜んでいました。
 保存会の中村善一郎会長は「過去の資料では25の演目があると言われているが、20ほどしか演じ方がわからない。また近年は人手が足りないということから、知っている演目でも演じられない現状だが、消え去ることが無いよう挑戦して後世に伝えたい」と語っていました。

 嵯峨大念仏狂言は、12日も同寺で13時半からあります。