京都生活と健康を守る会連合会は2日、中京区のラボール京都で「すぐに役立つ生活保護学習会」を開き、労働組合や医療関係者ら83人が参加しました。生活保護行政の改善を学び、生かそうと開かれたもの。
 生活保護を利用する人は、全国で約162万人・117万世帯にのぼっています。貧困が広がり、深刻化するなか、派遣切りなどで仕事と住まい、医療を一時に失う人たちが増えているものです。
 こうした中で、これまで締め付け一辺倒だった生活保護行政に大きな改善がありました。一つは、住まいのない人も保護が受けられること、2つは、稼働能力を有する(働ける)人も保護が受けられること、3つは、申請から決定までの期間が短縮されたことです。これら改善は、運動と情勢によってもたらされたものです。
 京生連の高橋瞬作事務局長が、生活保護は憲法に基づく生存権保障の制度である事、申請する権利はだれにでもある事など、原理や仕組みを説明しました。
 参加者からは、「町役場が、生活保護の誤った説明をしていて、申請の障害になっている」「稼働能力があっても保護が受けられることを、審査請求で争って認めさせた」「ホームレスの保護申請で、ネットカフェの宿泊代の支給を実現した」など、最近の事例が紹介されました。
 最後に、生活保護が権利である事を地域に広げて、積極的に制度を利用しようと呼びかけられました。(S・T)


この間の改善点は以下の通り。
 1つは住まいのない人への対応です。住まいがないとの理由で、申請さえも受け付けない例がほとんどでした。また、たとえ申請を受け付けても、決定までの間、路上生活を続けながら待たなければならない例も多くありました。しかし、今年に入って、住まいが無い人でも保護が受けられること、申請した人が路上で決定を待つことのないよう、すみやかに住まいを確保すること、やむなくネットカフェなどに宿泊する場合は、費用を支給することなど、住まいのない人への対応が改善されてきました。
 2つ目は、稼働能力を有するとされる(働ける)人への対応です。これまでは、特に病気などの理由がなければ、働ける(稼働能力がある)ことを理由に、申請を受け付けなかったり、申請しても「稼働能力不活用」を理由に却下される例が多くありました。
 しかし、派遣切りにあった人たちは、なかなか次の仕事がないため、生活保護を利用して、まず生活を安定させてから、仕事探しを続けられるようになっています。
 3つ目の改善点は、保護の申請から決定までの日数が短縮されたことです。これまでは、生活保護法で「決定までの期間14日」と決められているにもかかわらず、14日を越えて引き伸ばされる例が多くあり、申請時に「30日ほどかかります」と説明されることが多くありました。
 しかし、この間、特に住まいのない人の場合は、即日決定も含めて、すみやかに決定されるようになって来ました。