京都市下京区の重要文化財「角屋」の保存会と周辺住民が、「角屋」近隣を走るJR山陰線の電車からの騒音・振動対策を求めて、JR西日本を相手取り大阪簡裁に公害調停を申し立てた問題で、このほど調停が成立しました。保存会や住民は「求めてきた騒音・振動対策の水準からは程遠いが、調停を受け入れた。今後のJRの対策を見守りたい」と語っています。
 「角屋」は江戸時代に島原の花街にある料亭として栄え、代表的な揚屋建築として国の重要文化財に指定されています。
 庭のわきをJR山陰線が高架で走り、列車が通過するたびに「電話の音が聞こえない」「美しい風景を損なう」と、電車の騒音・振動に長年悩まされてきました。06年11月には環境アセスメントの実施や防音壁の設置、消音用の砂利を線路に敷き詰めるなどの改善策を求めて大阪簡裁に調停を申し立てていました。
 調停成立により、JR西は「角屋」に隣接する線路に部分的に砂利を敷き詰めることや防音壁の設置などの対策を取ります。
 角屋保存会の中川清生理事長は、「環境アセスメントの実施などは認められず、満足いくものではないが、一定の前進があったので受け入れた。しかし、今後山陰線の複線化が進められ、電車の高速化、本数の増加により、騒音・振動がひどくなる可能性もある。JR西の対策を注意して見ていきたい」と語っています。