木の芽煮 連日酷暑の京都。こんな時は食欲が落ちたりするものです。そんな時にご飯のお友に、冷奴や素麺の薬味にお薦めなのが、ぴりっと辛い山椒が効いた鞍馬の「木の芽煮」です。
 木の芽煮は、150年の老舗「渡辺木の芽煮本舗」(京都市左京区)の初代が、鞍馬に自生していた山椒を生かして鞍馬寺の参拝客の土産物ができないかと考案したことが始まりと言います。
 同店舗の4代目渡辺伊織さん(55)は週1回、店の奥の作業場で、実山椒、昆布に濃口しょうゆ、みりんを合わせて大鍋で炊く作業を行います。
 「礼文島の昆布、蕗は福井、山椒は奈良産、しょうゆはまろやかな三重の桑名を使ってます。火の入れ方一つで、ツヤと味わいが全然違ってくるんです。20年やってるけど、ここが難しいところ」と言います。
 早朝から火にかけて炊き上がるのは、午後1時過ぎ。一晩寝かせてようやく完成です。
 昔ながらの山里の味、香ばしい、しょうゆ味と山椒の辛さで、つい食がすすみます。