城陽市の青谷地区東方の丘陵地にある青谷梅林の梅も満開期を少しすぎましたが、たくさんの観梅客がたえません。こけむす老木古木をまじえて数万本の城州白、白加賀、オタフクダルマ、鶯宿、玉英などの白梅、紅梅などが青谷一帯に咲き誇っています。梅の小枝に刺した柑橘に群がるメジロがこころ和ませます。
 青谷の梅は鎌倉時代末期に歌にも詠まれており、徳川時代に淀藩が梅林栽培を奨励したと記録されています。1900年に青谷梅林保勝会が設立され、今日まで梅林の保護と観光に勤め、今では毎年「青谷梅林梅まつり」が城陽市、同市観光協会、青谷梅林振興協議会や青谷梅小町の会など実行委員会を結成して多くの花見客を迎えています。
 付近一帯いたるところには、梅干や梅酒用の背の低い梅樹群が純白の小ぶりの白い花をたくさんつけています。手入れしている農家の方は「ピンクや紅などきれいな色の梅には梅の実はつかないのですよ。この素朴で可憐な白梅はちゃんと雄しべと雌しべがあって大きな実をつけるんです。幹のコケは見た目はいいかも知れませんが、やはり梅木にはよくないんです」、「何よりも最近は跡継ぎがなかなかおりませんので苦労してます」と語ります。(仲野良典)
 「よめにもそれと ほのしろく みだれてにほふ うめのはな」(島崎藤村)