9日午後2時から、四条河原町で行われた「市政刷新の会」街頭演説会(3000人)での日本共産党志位和夫委員長の応援演説(大要)は次のとおりです。
 こんにちは。大変お天気が悪いんですけれども、大変な熱気を感じます。今日は本当にたくさんの皆さんがお集まりくださいましてありがとうございます。
 京都のみなさんの選択に全国が注目しています。今、ご紹介があった正義の弁護士、中村和雄さんをみなさんの代表の市長に必ず押し上げてください。よろしくお願いいたします。
 私、実は中村さんといろいろ共通点ありまして。まず、名前の「かずお」が一緒です。それからもうひとつ、実を言いますと高校の同級生なんです。うそじゃないですよ。(笑)千葉高校で同級生でした。生みの親は千葉県ですが、育ての親はみなさん方京都市民、京都府民だと思っています。水俣病の問題から始まって、雇用の問題、それから同和の問題、市長への追及、正義の弁護士として果たしてきたその実力、見識、人格、識見―これは古都・京都の顔にもっともふさわしい方だと思います。
 この選挙の対決の構図は大変わかりやすくなっております。広い市民の皆さんと私ども共産党が共同で推薦している中村和雄さんと、自民、公明、民主が「相乗り」で押す前教育長との事実上の一騎打ちであります。
 相手は「相乗り」なんですね。「国会では自民と民主は対決しているのに、なぜ京都に来ると相乗りなのか」と疑問に思っている方がいるということを伺います。しかし、みなさんこれは実は、不思議でもなんでもありません。まず、みなさん国政でですね。自民党と民主党が対決しているように表面上は見えますが、実は下のほうと言いますか、心が通じ合っている仲なんですね。あの小沢さんと福田さんが党首会談をやって「大連立」の合意をいったん結ぼうとしたでしょう。いつあれが、また、持ち上がるかわからない状況です。
 海外派遣の恒久法の問題でも、消費税を値上げするという問題でも、自民党と民主党、実は、共通点、接点だらけです。今、道路特定財源の問題で対決しているように見えるけれど、確かに暫定税率はなくせと言っている点は、共産党と一緒ですが、問題なのは「無駄な高速道路の計画を撤回せよ」とは、民主党は言ってませんね。これは、自民党と一緒なんです。
 だから自民党に「税金下げるのに、道路作ったら財源が無くなるでしょ」といわれて困っている。国政の「ねじれ」「ねじれ」と言ってますが、自民と民主党は同質同類で、たいしてねじれていない。ねじれているのは二大政党と国民の皆さんとの利益とがねじれているというのが事の真相だということをまず言いたいと思います。
 京都市政では、共産党以外は「オール与党」です。自民も公明もそして民主も、市長の言うことにはみんな賛成、右にならえのオール与党。しかし、京都ではオール与党は選挙のときだけ、「にわか対決」はできないんですね。なんでオール与党が「にわか対決」できないかというと、皆さんの力が強いからです。京都の町衆の力が強いからです。京都の民主勢力が強いからです。共産党だって強い。ですから「相乗り」をしないと勝てないというのが相手方の力ですから。これだけ評価されているのが京都の町衆の力ですから、その評価にこたえる結果を出そうではありませんか。(拍手 「そうだ」の声)
 争点は、はっきりしてまいりまして、テレビの討論会、新聞の討論会を私も拝見しましたが、もう中村さんしかいないというのが私は決着がついてきたと思いますが、三点ほど言いたいと思います。
 第一は、市内高速道路の問題です。完成した2つの路線に続いて、計画中の3つの路線を許すのかどうかが、一大争点に浮上してまいりました。私は京都市内に高速道路を引き入れるという計画は、市民のみなさんに3つの災難をもたらすということを言いたいとおもいます。
 1つは、税金の無駄遣いです。この計画、だれが号令をかけているかといえば、国が号令をかけているんです。国が作った「10年間で59兆円の道路をつくる」という「道路中期計画」というのがあるんです。これは総額が59兆円というのが先にきまっていましてね。全部使い切るまでこの59兆をみんなで割り振る。京都の分はこうだよ。割り振られて、実施しようというのが、3路線です。
 市民の皆さんがこれを受け入れてくれと望んだ方はいらっしゃいますか。市民が望んだ計画ではない。59兆円という計画を勝手に上から押し付けられた計画であります。総額をこなすためにいったいいくらお金がかかるのか。完成した2つの路線にかかったお金で市の負担は、当初90億円といわれました。ところが、使ったお金は700億円ですね。8倍にも膨らみました。
 こういう巨大開発っていうのは、お金が膨らむことがあっても少なくなることはないんです。新たに計画されている3路線はいくらか。市の負担だけでも1450億円です。これが8倍に膨らんでごらんなさい、1兆円になっちゃいますよ。こういうとんでもないでたらめなところにお金をつぎ込むんだったら福祉や暮らし、教育にこそ使うべきではないでしょうか。(拍手) 
 第2の災難は、京都の景観を壊すということです。高速道路は地下につくるから、景観が壊れないというけれども、とんでもない。いくら高速道路を地下につくったって、自動車は排気ガスを出しますから煙突が必要です。排気塔を建てるんですね。排気塔といったって皆さん。生半可な高さではありません。高さ30メートルの排気塔を4本も立てるんです。4つも建ててごらんなさい。これ、景観を破壊しますね。そのことをいわれたら相手は「景観にマッチした煙突を建てる」と言っています。しかし煙突は煙突で、どんなにお化粧をしようとも京都の景観にはふさわしくないことはあまりにも明らかではありませんか
 そして3つめ、「京都議定書」を採択した都市の名を汚すなということであります。高速道路は都市部に大量の車を導入することになります。交通渋滞と大気汚染をひどくし、地球温暖化を進める。この間、日本の政府は、「京都議定書」の精神を投げ捨ててちっとも守ろうとしない。6パーセントCO2減らしますと約束しながら、6・4パーセント逆に増やしています。CO2はどんどん増える一方で世界から批判されています。こういう時にはこの京都議定書を決めたこの京都の市長が「こんな政治ではだめですよ」と日本の政府にしっかりと物が言える人でなかったら、これ、務まらないじゃないですか。(「そうだ」の声 拍手)
 京都の町壊しをしてCO2をどんどんまき散らし、京都市内への高速道路を引き入れて温暖化をひどくするような市長さんはこれは、資格がないといわなければなりません。
 この問題で、「オール与党」の候補者は、「あり方を検討」するとしかいいません。検討してもやるってこともあるんですね。皆さんがあまり怒るもんだから、最近は、「いまは凍結する」と言っています。「凍結する」っていうのは、解けて出てくるというもんですね。そんな中途半端なことではだめです。中村さんはしっかり中止するといっていますね。市内への高速道路引き入れはもうごめん。環境も守ろう、地球環境を守るというメッセージを世界へ発信しよう。そういう人はこぞって、中村さんに入れてください。よろしくお願いします。
 第二の争点は、福祉と教育を良くする候補者は、誰かという問題です。今、国の政治はだいぶ悪くなっていまして、「構造改革」という名で貧困と格差がどんどん広げられる、そういう悪い風が国のほうから吹き付けてまいります。京都でご商売やってらっしゃる方、あるいは働いておられる方、なかなか暮らしは大変です。
 私、昨日、国会の予算委員会で、この貧困と格差の一番の根源にあるのは人間らしい雇用が破壊されていることにある。派遣労働がどんどん広がり、日雇い派遣などという使い捨て労働に苦しむ青年が広がっている、この問題をただしました。この問題あまりにも実態がひどいですからね。私が追求しましたところ、あの福田首相も、「これはけっして好ましいものではありません」と首相にしては殊勝な答弁しました。「決して好ましいものではない」といった以上は、派遣とか請負とか本当に不安定な働き方をさせられている、こういうやり方はきっぱり改めて、経済的に安定した人間らしい労働ができるそういう日本にしていくことが政治の役割だと私たちは強く要求していきたいと思います。(拍手)
 こういう具合に、国の政治が悪いですから、自治体が大事なんです。国の政治が悪かったらその悪い政治から、私よく言うんですが、両手を広げて立ちはだかって「みなさんの暮らしを守ってこそ自治体」と言えます。
 民主府政をずっとやってきた蜷川さんは、そういう立派な民主府政、あるいは民主市政の伝統が皆さん方にはありますね。
 ところが、私驚いたのは、相手のオール与党の候補、何と言っているか。「乾いたタオルを絞るように行革をやってきた」そうです。この「乾いたタオルを絞る」。この言葉を最初に言ったのは誰かご存知ですか。トヨタ自動車です。トヨタでは「乾いたタオルを絞る」ように労働者をしぼりあげ、下請けを絞りあげ、それでももっと絞る。こういうやり方で世界のトップ企業にのしあがってきた。こういうあこぎな儲けかたをしている大企業の会長が使う言葉であって、みなさんの代表である、福祉を守るべき市長候補が言う言葉ではないということを、私は言わなければなりません。(「そうだ」の声と拍手)
 高すぎる国保料と保険証の取り上げの問題が大きな争点になっております。反対する署名が18万を超えたと聞きました。皆さんの怒りが伝わってまいります。
 私、この問題でも、ここまでやるかと思ったのは、乳幼児や重度障害者のいるご家庭からも保険証の取り上げをやっているんですね。全国の政令市・県庁所在地・東京23区を調べていますと半数以上はそんなことやっていないんです。いくらなんでも乳幼児や障害者の方がいるご家庭では保険証の取り上げやっていない。
 ところが京都市は平然とやるんですね。こういう訴えがあると聞きました。保険証が取り上げられて資格証に置き換えられたご家庭のお母さん。資格証だと窓口で全額払わなければなりませんね。「激しい下痢の2歳の長女を、お母さんが診療所に連れて行った。3歳未満なら外来1回200円で済むと思ったら、資格証によって『子供の医療費無料制度』の対象から外されており、6600円請求された」。みなさん、お母さんこの国保料、怠けていて払っていないわけではありません。払いたくても高すぎて払えないわけでしょう。お母さんだって何の罪もありません。ましてや、2歳の子供さんに何の罪もないじゃありませんか。そういう家庭からも平然と国保証を取り上げる。この冷たい市政は変えなければならないと思います。(拍手)
 「オール与党」候補者は、「財源がありません」ということ理由に値下げを拒んでいます。それはおかしい。だって命と健康に関わることなんだから、財源を言う前に、一番最初にそこにお金を使うべきではありませんか。(「そうだ」の声)。
 財源、財源というが、中村さんも言っているように、国保を一世帯1万円引き下げるためには、28億円あれば済むんです。たったの28億円。さっき高速道路1450億円といったでしょ。そうしますと50年分ですよ。高速道路をやめれば50年分、1万円引き下げるわけですから、どっちが市民にとって大切かは明らかじゃないですか。どうかみなさん、中村和雄さんで命と健康を守るという自治体の本当の姿を取り戻そうではありませんか。よろしく御願いいたします。
 みなさん、教育の問題も私、一言訴えたい。オール与党の候補者は、教育長だったことを売り物にしております。しかし、何をやってきた方なのかなと。調べてみますと、およそ教育を語る資格がないことばかりをやってきた。
 教育基本法の改悪のときに、国会まで出てきて改悪の旗振り役をやったのはこの人です。そしてこの京都においても、学校の予算を2割もカットして、夏にお子さんがプールも入れないような状況を作ったのはこの人ですよ。
 しかも、一番悪いのは、学校教育に格差をつけていることです。たとえば、高等学校で市立高校に「受験専門学科」を設置して、デラックスな校舎を造る、ところが、夜間の定時制は130人募集人員を削減したそうです。小学校まで一部の学校を「構造改革特区」に指定して、デラックスな校舎をつくる。給食のお皿までデラックスなものになっている。先生も手厚くする。
 その一方で、従来校は校舎、体育館には雨漏りがするし、壁に穴があいている。その状態が放置されていると聞きました。要するに、一部の子供たちができればいい。弱肉強食の競争原理を教育にまで持ち込もうというのがこの人がやってきたことじゃありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
 しかも大阪市で開かれた侵略戦争を正当化・美化し、憲法を否定する団体の催しに提言者として出席した「靖国」派の人物であります。私は、教育で一番悪いこと、それは、子どもたちを競争でふるい分けること、それから格差と差別を持ち込むこと。それから権力が介入すること。そして戦争を良いことだと教えること。それが教育で一番悪いことだと考えました。相手には、それが全部そろっているではありませんか。
 蜷川さんは「15の春は泣かせない」の名文句を残しました。すべての子どもたちは、等しく教育を受ける権利を持っている。これはすばらしい教育文化です。中村さんで、一人ひとりの子どもたちを大切にする教育をこの京都に取り戻そうではありませんか。よろしく御願いいたします。(拍手)
 第3に不公正な同和行政を倒せる人は誰か。これはいうまでもありません。中村和雄さんをおいてほかにないこと、これは明らかであります。 この間の「解同」のふるまい、ひどいですね。
 「解同」に不正な補助金が出されていた問題がありました。学習会といいながら、温泉にいっていた、学習会をやらずに企画もしていないのに、税金を騙し取っていた。中村さんが先頭にたって追求し、合計8000万円を返還させました。
 同和の奨学金の返還を市が肩代わりし、野放しにしていた問題でも判決が下りました。この問題でも先頭にたって追及したのが、中村和雄さんではありませんか。中村さんが原告で、被告席に座っていたのが、これまでの市長とこれからその跡継ぎになろうという、オール与党の人です。相手候補、これは「解同」の温泉旅行への補助金を認定し、はんこを押し、被告として裁かれ、117万円の返還を命じられ、懲戒処分を受けた人でしょう。
 私、不思議でなりません。何でこんな人が市長になるなんていう資格があるんでしょうか。私は市民もあきれているんじゃないかと思います。中村和雄さんで不公正な同和行政は根絶しようじゃありませんか。
 みなさん、たたかいはあと1週間ちょっとですが、中村さんへのご支持の輪は日に日に広がっております。京都の革新の力、市民の力、弁護士の力、医師のみなさん、宗教者のみなさん、女性のみなさん、若者のみなさん、みんなで力を合わせて、市民が主人公の民主市政を必ず取り戻そうではありませんか。最後の最後までご支持の輪を広げていただくことを御願いいたしまして、私の訴えとさせていただきます。ありがとうございました。