京都市が、子どもの医療費無料制度の受給世帯から国保証を取り上げていることが26日の市議会決算特別委員会で明らかになりました。日本共産党の樋口英明議員が追及したもので、「子どもの命が危うくされる事態。資格証明書の発行を中止すべき」と求めました。
 樋口議員は、市内の小児科医院で、2歳の子どもを連れた母親が資格証明書と「子ども医療費受給者証」を持って受診した際、制度が使えず10割負担になると聞かされ、ぐったりした子どもを連れ帰ろうとしたため、医院側の配慮で手持ち金で診察した事例を紹介しました。長野県松本市では、子どものいる世帯には資格証明書の発行を要綱で禁じている例を示し、「京都市でも子どもの医療費支給制度の対象世帯には発行すべきでない」と求めました。
 市側は、資格証明書が発行されている3080世帯(3月末時点)の内、18歳以下の子どもがいるのは7世帯と説明した上で、「お困りの方は区役所で十分に相談していただきたい。(保険料負担の)公平性を確保するために、(子どものいる世帯に)発行しないということにはならない。保護者にも責任がある」(山内清・生活福祉部長)と答えました。
 樋口議員は、「子どもが病気で治療受けられる条件があるにもかかわらず治療させない親がいたら『虐待』になる。行政の施策で子どもの命が危うくされる事態は絶対に許されない」と重ねて発行の中止を強く求めました。
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 京都市の「子ども医療費支給制度」では、通院は、3歳までは1医療機関につき200円、小学校就学前までは、3000円超分が無料でそれぞれ受診できます。しかし、資格証明書が発行され、正規の国保証を取り上げられた場合は10割負担となり、同制度を利用することができません。