江戸時代の御用印判司「鮟鱇窟」を受け継ぐ水野恵さんが、鮟鱇窟所蔵印の印譜『鮟鱇窟印譜』と篆刻用の書をまとめた『古韻体書典』の2冊を上梓しました。25日には、中京区の弥生会館で出版記念のつどいが開かれ、全国から印判にゆかりのある美術家や僧侶、学者ら100人あまりが参加しました(写真)。
 古韻体の書は、桃山期ごろから碑や銘文、印章などで使われていますが、今は篆刻にしか残っていないことから、水野氏があえて手本の公開に踏み切ったもの。本では、出版にむけて水野氏新たに彫った篆刻や古韻体の「さび」の魅力についてのコラムも収録されています。
 水野氏は「皆さんの力添えで2冊同時出版という難行をこなせた。次代に伝える書、日本の篆刻の復興の大きな力になれば」と話しました。
 『古韻体書典』芸艸堂、3000円。『鮟鱇窟印譜』今井プリント3万円。