江戸末期、京の都には病魔に罹った庶民を救済すべくお堂にたてここもって一心に本尊阿弥陀如来に祈った僧が安楽寺の真空益随(エキズイ)。「夏の土用に鹿ケ谷カボチャを食べると中風にかからない」というお告げがあって以来7月25日に供養を営んで、広く庶民にふるまわれ疫病も緩やかになったとか。ソフトボールのような賀茂ナスや丸っこい聖護院カブ、九条ネギなどと並んで鹿ケ谷のヒョウタン型カボチャで有名な京の伝統野菜の一つ、鹿ケ谷カボチャには京都府の専門研究所の分析では他のカボチャの約7倍近いリノレン酸が含まれ、リンやビタミン類、カリウムなども数倍ふくまれているという結果がでています。
 安楽寺では毎年7月25日は寺宝の虫干しとカボチャ供養が営まれて各地から多数の人々が訪れます。
 写真はほっこりと煮込まれた柔らかいカボチャを、きれいな園庭を見ながら食べているところです。岐阜からきた壮年の男性は「初めてよせてもらいましたがなかなか美味しいですね」とニコニコ顔。大阪と尼崎からきた二人連れの女性は「ホント柔らかくて、お味も中までしゅんで甘くて美味しい」と大きく盛られたカボチャを頬張っていました。(仲野良典)