厚生労働省は、国民世論の猛反発を受けた、“残業代ゼロ”・長時間労働野放しの「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」を「自己管理型労働制」と呼び換え、今国会での法案提出を狙っています。昨年末、残業代未払いを解決した男性は、「(WEは)絶対に許せない」と断念を求めています。
 京都市内の有名飲食店で働くTさん(40代)は、昨年3月、突然基本給が3分の2に減らされました。減給分は別手当てとして支給され、毎月受け取る額に変化はなく、不思議に思いました。
 「朝8時から夕方6時まで。残業有り」という条件で勤務。店の営業時間は夜9時までで、当然毎日のように残業でした。しかし、期待していた残業代は一切つかず、まわりの従業員も諦めている様子。そして、突然の基本給「変更」。実は、残業代未払いを「合法化」するためのものでした。 怒ったTさんは、労働相談センターを通じて組合に加入。団体交渉や労基署申告など半年ががりで未払い残業代を支払わせました。初めての、しかもたった1人の組合活動に不安が募りましたが、「労基法に違反している会社側が悪い」と奮い立たせました。WE導入など労働法制改悪の動きにも敏感になりました。
 Tさんは言います。「労働者を守る労基法があったからたたかえた。だから、WEは絶対に許せない。成立させたら、今でも横行している長時間労働、残業代未払いが『合法』となり、大変な社会になってしまう」と話しています。