「民主府政の会」から知事選に出馬をする衣笠洋子予定候補は16日、政策提案を発表しました。
 提案は「私の基本姿勢」「私の緊急政策」「私の府政改革提案」の3部構成。国民の安全と暮らしを切り捨てる小泉「構造改革」に「同感」とのべ「府民に冷たい府政」を推し進める現知事を批判し、▽府民とともに、暮らしの目線で府政改革▽「格差社会」でなく、府民の連帯・ネットワークを大切にした「安心の京都」▽憲法を暮らしのすみずみに生かし、京都の良さと力が発揮される府政、の「3つの基本姿勢」で府政転換の方向を提案しています。


憲法・いのち・くらし―心かよう府政を
府政転換 府民が安心できる、あったか京都をめざして260万府民のみなさんへの私からの提案
                                      2006年2月16日
                                京都府知事選挙予定候補  衣笠洋子
「私の基本姿勢」
 私は、1月6日、3万人をこえる府民のみなさんから寄せられたアンケートの思いにこたえて、「憲法・いのち・くらしー心かよう」京都府政を何としてもつくっていきたいと思い、知事選挙への立候補を決意しました。
 この1カ月あまり、府内各地をまわり、2万人以上の方とお会いし、お話をさせていただきました。京都の市内でも北部でも南部でも、くらしと営業の破壊、厳しい実態、府政への不満、切実な声を聞かせていただき怒りを実感しました。ふるさとを一生懸命に守りがんばっておられるみなさん、ものづくり・伝統産業を守りがんばっておられるみなさんのこころ意気、憲法9条の改悪は許さないとの熱い思いを聞かせていただきました。今の府政がつづくと、京都が京都でなくなる、もう待てない!今すぐ府政を変えないと、その思いがますます強くなってきました。
 私は、府民のみなさんの草の根の運動と力をあわせて、4月9日、なんとしても、「府民が安心できる、あったか京都」をつくっていく決意です。
 いま、アスベスト、耐震強度偽装、ライブドア、米国産輸入牛肉など、「規制緩和」のかけ声ですすめられてきた、国民の安全と暮らし切り捨ての小泉「構造改革」に批判の声がたかまっています。格差社会と貧困化への不安が高まり、「改革を見直してほしい」の声が過半数を超しました。その小泉「構造改革」に「同感」と言いながら府政をすすめているのが今の知事です。病院や学校を採算があわないから、もうからないからとつぶしてしまう。土木事務所や保健所の統廃合を強行し、その結果、一昨年の台風23号の被害を大きくしてしまいました。いのちを守る病院や、子ども達の教育の場である学校を、経営の視点で見ることを、私は理解できません。心のない冷たい府政です。
 私は、「府民に冷たい府政」から、「府民といっしょのあったか府政」への転換をはかる決意です。「くらしの目線」「府民のネットワーク」「憲法」をキーワードに改革をすすめていきます。この京都から、「今の政治はおかしい、小泉「構造改革」ノー、憲法9条を守ろう」の声を発信していきたいと考えています。
「府民に冷たい府政」から、「府民が安心できる あったか府政」への転換
 私は、みなさんの願い、声にこたえて、安心して子育てができる、安心してものづくりができる、安心して住み続けられる、「府民が安心できるあったか府政」実現にむけて、3つの基本姿勢でのぞみます。
 引き続き、府民のみなさんとの対話をすすめ、練り上げ、みなさんの願いに応える確かな府政をつくりあげていきたいと考えています。新しい府政づくりに、みなさんがごいっしょに参加いただきますよう、心からお願いいたします。
(1)府民とともに、くらしの目線で府政改革
 「子どもの医療費の無料化など、子育てをしやすい京都にしてほしい」「年金が減り、医療費が高く、病院に行くことができません」「高校の統廃合はやめてほしい」。みなさんの切実な声です。
 いまの府政は、府民に痛みを押しつける一方で、京都市内高速道路、舞鶴の和田埠頭、畑川ダム建設などムダな公共事業にはメスを入れようとしていません。
 府政も家計と同じです。税金のつかい方、使う順序が大切です。私は、府民のくらしと営業の実態を、くらしの目線で常に点検し、ムダをなくし、府民の切実な願いの実現を最優先にして府政運営にあたります。その決意を示すものとして、知事の退職金は返上します。
 私は、「子育て日本一の京都」、「高齢者・障害者をはじめ府民が安心してくらせる京都」、「府民のいのちと安全が保障される京都」をつくりあげます。
(2)「格差社会」でなく、府民の連帯・ネットワークを大切にした「安心の京都」
 私は、「格差を拡大させる」のではなく、誰もが安心して、子育てできる、ものづくりができる、住み続けられる「安心の京都」を、府民の連帯、ネットワークを大切にしてつくりあげていきたいと思います。
 いま、国民の75%が格差社会を実感し、「これでいいのか」の声が大きくなっています。ところが、いまの府政は「格差社会」をますます拡大する府政になっています。和装・伝統産業予算を2億円余に半減させる一方、大企業には1社20億円も支援する制度をつくりました。大型店の出店も野放しです。
 京都にはすばらしい自然と歴史、そしてものをつくる技術力があります。京都の伝統産業は、日本の宝でもあります。くらしを守る、地域を守るネットワーク、産業や平和を守るネットワークがあります。私は、こうした力に依拠した府政運営をすすめていきます。
 私は、「若者・女性が希望をもってくらせる京都」、「ものづくりの力が発揮される京都」をつくりあげていきます。
(3)憲法を暮らしのすみずみに生かし、京都の良さと力が発揮される府政
 私は、母親運動に出会い、「いのちを生み出す母親は いのちを育て いのちを守ることを望みます」のスローガンを大切に、何よりいのちを守る運動に参加してきました。
 かけがえのないいのちの尊さ、いのちを守るそれは、「誰もが健康で文化的な最低限の生活を営む権利がある」ことをうたった憲法25条や「戦争放棄と戦力の不保持」をうたった憲法9条につながります。
今の知事は、「憲法9条を守る」とは言いません。それどころか、国民や地方自治体に戦争協力を義務づける「国民保護計画」づくりを熱心にすすめています。
 私は、憲法9条を守り抜くとともに、憲法を暮らしのすみずみに生かしていきます。平和の願いを発信する京都をつくりあげます。
 私は、府政の主人公は府民だと思います。知事室を開放し、「府民の声が生きる京都」、京都の良さと力が発揮される、府民が主人公の府政運営をはかります。
私の緊急政策
 今、京都府がしなければならないことは沢山ありますが、アンケートに寄せられた府民のみなさんの切実な願い、府内をめぐって受け止めた府民のみなさんの切実な願いに応え、ただちにとりくむ対策として、次の施策を提案します。
 これらは、京都府の一般会計8000億円のわずか0.5%程度のつかい方を変えれば実現できるものです。同時に、それは、府政全体の改革をさらにすすめれば、どれだけ大きな仕事ができるかを示しています。
(1)「子育て日本一の京都」をめざし
 ・子どもの医療費助成を通院も就学前まで無料にする
・市町村と協力して、保育所・学童保育の待機者ゼロをめざす
・児童相談所に、「子ども家庭相談センター(仮称)」を設置するなど、子育ての悩みを気軽に相談できる体制を強化する
 ・小・中学校すべての学年での30人学級の実施にふみだす
 ・すべての小学校に「学校安全職員」を配置し、地域の力とともに、子どもたちの安全を守る
・高校統廃合計画を凍結し、関係者への説明と府民的議論による見直しを行う
 ・宇治・城陽・八幡に養護学校建設を早急にすすめる
・通学費の負担軽減をはかるため、回数券への補助、適用金額の引き下げを行う
(2)「高齢者・障害者をはじめ府民が安心してくらせる京都」をめざし
・生活保護世帯への見舞金を復活する
 ・介護保険料・利用料の助成措置を創設する
・国民健康保険事業への助成費を増額し、高すぎる保険料引き下げを応援する
 ・障害者医療助成の在宅酸素療法への助成対象を拡大する
・障害のある人が安心して必要なサービスが受けられるように、負担軽減措置をとる
(3)「若者・女性が希望をもってくらせる京都」をめざし
 ・パート・アルバイト・派遣労働者の労働・くらしの実態調査を行う
 ・伝統産業の後継者育成助成制度を創出する
・誘致企業との間で、府内新卒者・正規雇用を求める協定を締結し、雇用拡大をはかる
・高校卒業生の雇用促進のための助成措置をつくる
 ・若者・女性の就業・再就職支援対策を強化する
(4)「ものづくりの力が発揮される京都」をめざし
 ・住宅改修助成制度を創設する
・中小企業地域経済振興基本条例を制定する  
 ・中小企業への金融・経営・技術の一体的な支援体制を復活させる
・大型店の出店規制条例をつくる
(5)「府民のいのちと安全が保障される京都」をめざし
 ・土木事務所・保健所などの地方機関の再編影響調査を行い、組織の見直しをはかる
・建築確認や食の安全など、府民の安全にかかわる府の監督体制を総点検する
・「食の安全担当部局」をつくる
・土砂災害対策(急傾斜地崩落・防災対策事業費)、河川改修対策を優先的に実施する
・アスベストに関する健康診断対策や予防対策を強化する
・耐震改修助成制度を改善・拡充する
(6)「平和の願いを発信する京都」をめざし
 ・「憲法9条・平和のための国際京都会議」(仮称)の開催を呼びかける
・米艦船の舞鶴港入港の際に非核証明書の提出を求める
・5月3日と11月3日に、憲法6〇周年の年にふさわしい行事を行う
・憲法手帳を発行し、憲法を生かし守るとりくみをささえる
(7)「府民が主人公、府民の声が生きる京都」をめざし
 ・知事室を開放し、誰もが気軽に知事と懇談できるシステムを確立する
・知事自ら府民のもとへ出かけての、だれでも気軽に参加できる「車座集会」を開く
・市町村合併は強制せず、住民合意を最優先する。小さくても元気なまちづくりを応援する
・乙訓地域における府営水道給水協定の見直しをはかる
(8)税金のムダづかいをストップする
 ・京都市内高速道路建設、舞鶴和田埠頭や畑川ダム・天ヶ瀬ダム再開発事業はストップする。
(9)知事の退職金は返上する
私の府政改革提案
 京都府政が果たす役割は、「府民のみなさんの、くらしそのものをささえる府政、くらしの基盤をささえる府政、くらしの周辺をささえる府政」だと思います。この立場にたった、府政改革についての私の基本的な政策を提案します。
(1)子育て応援。医療・福祉・教育の充実。みんなが元気な京都
 「みんなが元気な京都」の主要な課題として、女性が安心して子どもを産むことができ、安全で健やかに子育てする施策の充実、私学助成や障害児教育の充実、子どもたちが大切にされる教育へ京都府の責任をはたします。高齢者や障害者が住み慣れた地域の中で快適にくらすための施策をすすめます。
 府民アンケートに寄せられた願いを受け止めて、子どもの医療費助成制度の拡充、教育施策の充実、就・修学援助の拡大、いじめ・不登校対策を充実します。安心して福祉サービスが受けられるように施設整備の計画的推進、負担の軽減、福祉施設に働く職員の条件整備をサポートします。介護保険料・利用料の助成措置の創設とともに、一人ぐらしでもお年寄りが地域で安心してくらせるネットワークづくりをすすめます。府北部をはじめ、どこでも安心して医療が受けられるように、公的機関はもちろん、すべての医療機関のネットワークをつくり、救急から終末医療までの医療体制確保・充実につとめます。高齢者の労働能力が生かせる施策をつくります。学術・文化・府民スポーツの振興に努めます。
(2)府民のいのちと安全 最優先。安心して住み続けられる京都
 「安心して住み続けられる京都」の主要な課題として、府民のいのちと安全を守る施策の充実と、府民の生活の足の確保、いのちと安全を確保する京都府の組織の確立を提案します。
 子どもたちの安全を守る対策とともに、危険箇所を中心にした治山治水、不法投棄の防止、食の安全対策を強化します。生活の足の確保へ、各地域にあった交通体系を関係者のみなさんの英知をあつめてつくります。
消防団・自治会・社会福祉協議会・NPOのみなさんなど、地域にある力を発揮していただくことが重要です。そのための支援を強めます。
 府民のいのちと安全を確保するために、京都府の監督体制を総点検し、その結果に基づく組織の強化をはかります。
(3)中小企業・地場産業・農林漁業支援。若者の雇用・働くルールの改善
 京都経済の主役は中小企業・地場産業・農林漁業です。いずれも、地域を支えている基幹産業です。その振興のために、経営面だけでない、生活面をささえる施策をすすめます。若者に希望を与える施策をすすめます。
 「地域経済振興条例」(または中小企業振興基本条例、農山漁村振興基本条例・京都の農山漁村を次代に引き継ぐ基本条例など)、「大型店の出店を総合的に調整する商業まちづくり条例」を作成するとともに、地域における産業と生活の一体性に配慮した「村おこし」「地域づくり」を軸にした横断的な産業ネットワークづくりを支援します。
公共投資を、福祉・保健・教育・文化・環境に力点を置いた「人への投資中心」に転換するとともに、地域経済の振興に効果がある住宅改修助成制度や小規模工事等契約希望者登録制度の創設、学校給食や福祉施設・病院への地元農産物の利用、府の公的調達の府内企業からの調達の拡大など、貴重な京都府の財源を地域内で循環させることを重視します。
若者や女性の雇用対策を特別に重視します。公共事業における労働者の賃金保障・下請け保護など、最低限の生活と経営が再生産可能となるように公契約条例の制定をはじめ、京都府のあらゆる権限を行使して、働くルールの確立をはかります。
 自然環境、景観、水資源を守る貴重な役割を果たしている農林漁業分野の価値を正しく評価した施策の展開をはかります。
(4)ムダ・環境破壊ストップ。京都議定書実践のまちづくり
 京都は地球温暖化防止の世界的な枠組みである「京都議定書」発効の地です。京都議定書実践のまちづくりが求められています。府民アンケートでは、力を入れるべき環境保全対策として、「乱開発の規制、自然環境や景観の保全」、「温暖化防止などの地球環境の保全」「不法投棄対策」「ゴミの分別収集・リサイクルの促進」があげられています。
 環境破壊をもたらす京都市内高速道路建設への出資金ストップ、自然環境や景観保全を重視したまちなみづくりを応援します。事業者への回収義務など拡大生産者責任の実効性をもとめ、府民参加のリデユース・リユース・リサイクルを促進します。自動車排ガス規制に向けた公共交通体系のあり方の検討、舞鶴火力発電所の2号機建設の凍結と1号機の運転見直しを、重点施策として提案します。
(5)府民が主人公。自治・公開・参加
 府民アンケートでは、府政改革で重要なこととして、「事業を計画する段階から府民の意見を聞く機会や仕組みを増やすこと」が第1位でした。京都府政は府民のものです。府民の声に耳をかたむけ、草の根民主主義と住民自治によって支えられなければなりません。基礎的自治体である市町村、NPOのみなさんとの協働も大事です。
 府民が主人公の府政、自治・公開・参加の基本的課題として、知事を先頭にした府民のくらしの現場に足を運ぶ風通しのよいガラス張りの府庁、市町村・NPOのみなさんが仕事しやすい環境づくり、政策立案過程への府民の参加、公正・公平な府政運営に努めます。京都府労働委員会の委員の任命を公正・公平に行います。
改正DV法の趣旨が生かされる施策を強めます。女性と青年の声が生きる府政運営をはかります。
 18歳以上の京都府民及び永住外国人も参加する住民投票条例をつくり、府政に関わる重要課題については住民投票を行うことを提案します。
(6)憲法9条を守れ。平和の願いを発信する京都
 憲法改正のための国民投票法案が浮上するなど、憲法9条を変える動きが強まっています。海外で戦争できる国づくりがすすめられていますが、憲法9条を変えさせてはなりません。「平和の京都」は府民の願いです。世論調査でも「憲法9条改正は不要」が6割以上です。
「憲法9条を守れ、平和の願いを発信する京都」の主要課題として、「憲法9条を守れ」を日本と世界に発信するプレイの実行、公務員が負う憲法尊重・擁護義務の履行、憲法を暮らしのすみずみに生かす府政の展開を提案します。
(7)府民の目線で財政再建、府民の願いに応える府庁づくり
 大型公共事業優先の府政運営のもと、京都府の府債残高は1兆3千億円(府民一人あたり52万円)に達しています。99年から04年度で126%も増えました。地方財政切り捨ての「三位一体改革」の影響もふくめ、京都府財政は厳しい状況にあります。
 「府民の目線で財政再建、府民の願いに応える府庁づくり」の主要な課題として、ムダな公共事業をはじめとしたすべての事業を府民の目線で見直すこと、府民のくらしと営業をささえて担税力を高めること、国の地方への負担転嫁に反対することを提案します。
 京都市内高速道路建設、舞鶴和田埠頭や畑川ダム・天ヶ瀬ダム再開発事業、木津川右岸運動公園、これ以上の学研都市開発などの大型公共事業は一旦ストップし、事業の必要性、採算性を議論します。第2名神高速道路の建設についてはキッパリと中止を求めます。公共事業は生活密着型公共事業中心へと転換します。
 民主的で効率的な府政運営をはかります。職員を減らすことが改革ではありません。府民のくらし・安全・いのち・健康・環境を守るために必要な、京都府の責任が果たせる組織・人員は確保し、管理部門は縮小します。