京都府保険医協会は3月15日、学習会「医療制度の『危機』を考える 大切な制度を壊さないために」を京都市内で開催しました。同協会が昨年10月から、医療制度を守ることを目指して開催している「連続市民学習会」の第2回目。

 長友薫輝・佛教大学准教授が基調報告し、政府が目指す医療費4兆円削減を巡る状況について解説しました。

 昨年、自民・公明・維新が国民医療費を年間で4兆円削減することで合意し、その後の自民・維新の連立政権合意書にも同削減が引き継がれました。

社会保険料負担軽減「国庫負担の増額が唯一の有効な手段」

 長友氏は「現在の医療費は年間48兆円(2024年度)。合意書によると年間医療費の1割に近い額を削減することになり、その影響は大きい」と批判。「現役世代の社会保険料負担軽減」を名目に、公的医療保険の保険給付を削減する政策について、公的医療保険を縮小し、民間医療保険への依存度が高まれば高まるほど実質的な医療関連支出は増大することになると指摘。その上で、高額な保険適用外の薬品や医療サービスの増加に伴って、結果的に公的給付も増大することになると強調し、「その顕著な例がアメリカだ」としました。

 その上で、「社会保険料負担軽減には、国庫負担の増額が唯一の有効な手段。医療保障水準を下げずに、財源を取るべきところから徴収して、健全な社会を追求することが社会保障の役割」と述べました。

 シンポジウムでは、同協会の政策部会部員の礒部博子医師が、「OTC類似薬」負担増の問題で報告しました。政府は、市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」の77成分・1100品を処方された患者に、薬剤費の25%の追加負担を求める制度を来年3月から実施することを目指しています。自民・維新の合意に基づくものです。

 礒部氏は、「現役世代の社会保険料負担軽減がその目的とされているが、患者負担増で軽減できる保険料は一人あたり年間400円(上野厚労相の3月6日の記者会見)に過ぎない」と指摘。「患者・国民の命・健康に大きな影響をもたらす負担増の撤回を」と訴えました。

 佛教大学の学生、遠山来海さんが若者の立場から、社会保障や医療制度とのかかわり、関心の状況などについて報告しました。