保育所の移転予定地。反撃を想定して地下化が計画されている舞鶴地方総監部(写真奥)はすぐ隣に

 衆院選が8日投票を迎えます。憲法9条に基づく平和国家を投げ捨てる大軍拡は大きな争点の一つです。自衛隊基地のある府内の自治体の住民は、大軍拡に反対や不安を訴えるとともに、「台湾有事」発言で中国と戦争することがあり得るとした高市首相について「危険な言動だ」と批判・警戒する声も上がっています。

 日本海への玄関口、舞鶴湾を抱える舞鶴市。海上自衛隊・舞鶴基地は、舞鶴湾の東部(東舞鶴)から中央部(中舞鶴)の海岸沿いに位置し、艦艇の係留所などがあります。

 記者が取材に訪れた1月30日、中舞鶴の大型弾薬庫建設予定地では、雪が強く吹き付けるなか、自衛隊車両が出入りしていました。警備中の隊員に弾薬庫新設の進展などについて尋ねると、「何も聞かされていない」と語りました。弾薬庫に保管予定の長射程ミサイルは、相手国の反撃を呼び込み、市民や隊員の身に危険が及ぶことにならないかと質問すると、黙って目をそらしました。

 トマホーク配備により、最前線の「出撃基地」へと変貌しようとしている舞鶴基地。イージス艦が並ぶ係留所や基地司令部の周辺には住宅地が広がり、市役所本庁舎も隣接しています。

「どんどん危険な方向に」自衛官の息子を心配する母 

 係留所や司令部に隣接する中舞鶴の住宅地で住民を取材すると、懸念や不安の声が寄せられました。

 「『危険な目に遭う状況になれば退職してね』と言っている」。息子が自衛官だという80代の女性は、雪の中を自宅に向かって歩きながら語りました。一連の軍備増強について、「どんどん危険な方向に進むようで、おそろしい。とにかく平和で争いのない世の中であってほしい」と祈るような表情を見せました。

 「そもそも、何のために、何をするのか説明すらされていない」。商店を営む女性はあきれたように話します。舞鶴市ではこの間、住民説明会は一度も開かれていません。「総選挙をやっているが、この問題について判断するための情報すら与えられていない」と困惑気味に語りました。

米国要求で軍事費大増額 30兆円なら国民1人当たり25万円

 日本の軍事費は、国内総生産(GDP)比1%以内(約5兆円)という「原則」が長く守られてきました。しかし、米国からの同2%以上の増額要求に応え、岸田政権は22年12月に閣議決定した「安保3文書」で、防衛費を23年度~27年度の5年間で約43兆円に増額することを決定。27年度には同2%(約11兆円)に到達することを掲げました。高市政権はこれを前倒しし、補正予算も含めて26年度中に同2%を達成しました。

 米国の増額要求はこれにとどまりません。米国は昨年、日本に対して「GDP比3.5%以上」(約21兆円)を打診し、日本政府はこれに応じる構えです。米国防総省が1月23日に公表した「国家防衛戦略」では、すべての同盟国にGDP比5%以上(日本では約30兆円)を求めています。これは、国民1人当たり年間25万円もの負担になります。

 莫大な軍事費の投入についても批判の声が上がります。舞鶴市の元小学校教員の80代女性は、「いま、物価高で、子どものいる家庭は本当に大変だと思う。日々の生活に何の役にも立たないミサイルを買うよりも、生活に苦しんでいる人のためにお金を使うべき」と強調します。

 「台湾有事」発言で、日本が米国とともに中国に武力行使する可能性に言及した高市首相にも、「危険を高める行為だ」と批判の声が上がりました。

「危機あおる」高市氏台湾発言に憤る元自衛官

 府内の駐屯地などに勤めていたという元自衛官の70代男性は、「なぜあんなことを言うのか。万が一の事態を起こさないことが大切なのに、自ら危機をあおるような発言だ。高市さんには(首相を)代わってもらわないといけないから、自民党の候補者には投票しない。今回は共産党の人に入れる」と言い切りました。

大型弾薬庫の建設工事が進む陸自祝園分屯地(1月28日撮影)

 大型弾薬庫の予定地に隣接する長浜地区の住宅地に住む女性も「夫の兄は16歳で志願兵として戦争に行って亡くなった。戦争は絶対いや。共産党の人がもっと問題を住民に知らせてほしい。反対する政党があるのは心強い」と語ります。

「戦争の恐ろしさ知らない」自民党支持者も不安の声

 全国最多の大型弾薬庫建設が進められている祝園分屯地(精華町、京田辺市)。祖父の代から自民党を応援してきたという京田辺市の80代男性は、「戦争で親類を失い、戦後も苦しい食糧難を経験した。二度と戦争はしてはいけないという思いで生きてきた」と強調します。

 その上で、「高市首相を含めて自民党の国会議員が、中国も攻撃できるミサイルを持とうとするのは、戦争の恐ろしさを知らないからだ」と語気を強めます。

 同分屯地の北側にある同志社大学京田辺キャンパスの近くに住む70代男性は、「7月に京田辺で行われた防衛省による住民説明会に参加したが、弾薬庫に何を保管するかまったく説明しなかった。国民に知らせず戦争に突き進んだ戦前と同じような状況に感じる。大軍拡に反対し、正論を貫く共産党にがんばってほしい」と期待を寄せました。

 安倍政権は2015年に集団的自衛権行使を可能とする安保法制(戦争法)を強行しました。これにより、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、米国の戦争に巻き込まれる可能性が生まれました。

 さらに、敵基地攻撃能力を保有することで、米国が同盟国と世界規模で展開するミサイル防衛網に組み入れられ、これにより、「先制的対処」も基本指針とする米国の指揮の下で、日本に対する攻撃がない「第三国」に長射程ミサイルで先制攻撃を行う危険性すらあります。

「米国は無茶苦茶」元自衛官が懸念「戦争に巻き込まれる」

 元自衛官で舞鶴基地にも勤務していた80代の男性は、「今の米国はベネズエラへの侵攻を見ても、何をするか分からない。米国が起こす無茶苦茶な戦争に、日本が巻き込まれてしまう危険性が高まっていると思う」と不安気気に訴えました。

 日本共産党舞鶴市議団の伊田悦子団長は、「憲法9条を生かした外交の力で平和をつくることをブレずに訴え、安保法制廃止、大軍拡反対を掲げる共産党の真価がいよいよ問われています。市民の命と暮らし、ともに暮らす自衛隊員の命も守るため、全力で奮闘したい」と力を込めます。