府北部初のユースクリニック「みんなの保健室~にじラボ」福知山市で毎月開催/思春期の体や心の健康、性の悩み「相談できる場」 産婦人科医、助産師らが立ち上げ

思春期の子どもや若者が、体や心の健康、性の悩みなどを無料で相談できる場=ユースクリニック(*)が、福知山市で今年4月から毎月1回開かれています。由良産婦人科・小児科医院(綾部、福知山両市)に勤務する杉山伸子産婦人科医と府北部の助産師らで主催する「みんなの保健室~にじラボ」。府北部地域で初の試みです。
「みんなの保健室~にじラボ」は、「ユースのためのカラダ・ココロのなんでも相談所」との打ち出しで案内。図書館や交流スペースがあり、中高生も利用するJR福知山駅前の市民交流プラザが会場です。
「こんな場所がほしかった」
室内では、ナプキンやタンポン、月経カップなど、様々な生理用品をはじめ、避妊具、性に関する書籍、手作りの布の子宮モデルなどを展示。視聴覚室での開設となった10月は、思春期の体の変化や性的同意について啓発する動画も上映しました。これまでに、「こんな場所が地域にほしかった」「来てみて楽しかった」など、来場者の感想が寄せられています。

提案者は、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ=性と生殖に関する健康と権利)の視点で、女性の健康をサポートする活動に取り組んでいる杉山さんです。
日本の学校教育では、性に関する正しい知識を広げる取り組みが十分でない現状にあり、若い人が体の変化や恋愛に関する悩みなどを気軽に相談できる場をつくりたい、と呼びかけたところ、助産師5人が賛同。杉山さんが代表となって団体「みんなの保健室~にじラボ」を立ち上げ、同名の「みんなの保健室~」の開設が実現しました。
杉山さんは地域活動の中で、産婦人科に対する一般的なイメージとして、妊娠・出産を機に受診するが、生理や更年期の悩みの相談などでは受診しにくいところと思われていると感じていました。「10~20代の若者となるとなおさらで、高校生が一人で受診するにはハードルが高い」と言います。
“相談できる場”求められていた
ユースクリニックの開設を始めるにあたり、同市内の中学校や高校を訪問して、養護教諭とも意見交換。望まぬ妊娠や性自認に関する支援など、相談できる場が求められていることも分かり、開設の後押しになりました。
メンバーの一人で、性教育の講師も務める助産師は、学校などでの講演の際、「気になることは相談してね」と伝えていると言い、「一般的な声かけではなく、月1回でも相談できる場がつくれたのは、うれしい」と話します。杉山さんは、「『にじラボ』は、若い人たちの居場所であり、相談できる場。気軽に立ち寄ってほしい」と呼びかけています。
「みんなの保健室~にじラボ」の活動内容は、若い人を対象にした相談やケアを行う居場所の開設、医療福祉に関する情報の提供。地域の人や行政・教育機関・企業の人たちを対象にした、若い人たちの健康問題に関する情報の提供など。講演の依頼も受け付けています。
【年内の開催日】11月28日(金)午後6時~8時、12月20日(土)午後2時~4時。相談は無料、予約不要。ホームページ=https://nijilab.mimosa-donna.net/
インスタグラムでも情報発信しています。
ユースクリニック 10~20代の若い人が体と心、性や人間関係の悩み(親や恋人からの暴力、妊娠、生理痛の悩みなど)を含めた幅広い相談を無料で受け付け、専門的で包括的サポートを提供する施設です。スウェーデンが発祥とされ、日本でも近年、取り組みが広がっています。




