統合、病床削減ありきでいいのか 舞鶴市 公的4病院再編方針考える集い/共産党府議団・舞鶴市議団

市民の医療ニーズに基づく議論こそ
舞鶴市の公的4病院の統合・再編計画が打ち出されている問題を巡り、日本共産党府議団(島田敬子団長、9人)と舞鶴市議団(伊田悦子団長、3人)は5月10日、同市内で「舞鶴の医療問題を考える集い」を開きました。
府議団の光永敦彦幹事長が計画の概要について報告し、同計画の最大の特徴は、「統合と病床削減ありき」と強調。国が医療費削減政策のもとで、病床削減を推進していることと同じ方向を向いていると指摘しました。
また、市が設置した「医療機能最適化検討会議」で課題とされた医師確保や厳しい経営状況などは、全国共通の課題であると指摘し、「全国各地で舞鶴と同様の議論が起きているわけではない。あくまで舞鶴市長発の計画であり、4病院からの要望でもない」と述べました。
その上で、同会議での検討は、「経営目線の議論が中心になっている」とし、「本当に必要なのは市民の医療ニーズをつかみ、舞鶴の医療の在り方を議論していくこと。コロナ禍を経験したもと、統合、病床削減ありきの再編でいいのか、本当に市民的な議論が必要だ」と述べました。
小杉悦子市議が報告し、市議会3月定例会の中で、市長が個人的な意見としながらも、病床数を現在の997床から700床に削減(急性期は555床から250床へ)することが望ましいという考えを示したことを紹介。市として市民の医療ニーズを把握する意思がないことが示されたことを報告し、「国の医療費削減政策に従順な姿勢では、地域医療は守れない。新興感染症への対応を考えても余裕を持った病床数の確保が必要ではないか」と訴えました。
また、同検討会議が示した五つの統合・再編案のシミュレーションをコンサルタントに依頼しており、今秋にも結果が出る見込みだと述べました。
島田団長は、「市民の不安や医療ニーズをつかむという取り組みをわれわれが行って、その声を行政にぶつけていく必要がある」と述べました。
急性期機能集約化で病床削減に/市検討会議が再編・統合で5案提示
舞鶴市には、舞鶴市民病院(西舞鶴地区)、舞鶴赤十字病院(同)、舞鶴医療センター(東舞鶴地区)、舞鶴共済病院(同)の4つの公的病院があります。
2004年には市民病院での内科医師の一斉退職が起こり、医療提供体制が不安定となりました。これを機に、同市が示した「基幹的病院とサテライト病院の2つに再編」という案をベースに、10年には府が「中丹地域医療再生計画」を策定。
しかし、12年に多々見前市長が、4病院を維持して「あたかも一つの総合病院」として機能させるとし、計画を修正しました。
この計画のもと、市民病院は療養病床に特化するなど、4病院が機能を特化してきたもとで、市民が「乳がん手術で3病院に通った」「複数の病気で市外に通院せざるを得ない」などと訴える事態が生じていました。
現市政は23年5月、「舞鶴市医療機能最適化検討会議」を立ち上げ、4病院の院長らと医療提供体制の現状や課題について検討を開始しました。
同会議は急性期機能の集約化や将来の医療需要に即した病床数を考慮する必要があるなどとし、昨年10月、4病院の再編・統合案として、▽4法人4病院のまま急性期を再編▽西舞鶴の2病院を統合し3病院で急性期を再編▽東舞鶴は統合し、急性期を東舞鶴に集約。西舞鶴2病院は維持▽西舞鶴と東舞鶴それぞれで統合し、急性期は東舞鶴に集約▽西舞鶴と東舞鶴それぞれで統合し、経営主体は1法人に統合。急性期は東舞鶴に集約─を提示しています。