第8回目となる「原発ゼロ京都アピール」講演会が2月24日、京都市伏見区の龍谷大学深草キャンパスで開かれ、研究者や弁護士ら3氏が講演し、原発ゼロの社会実現を訴えました。同アピール呼びかけ人が主催したもの。

■入澤・龍谷大学学長があいさつ

 龍谷大学の入澤崇学長があいさつ。仏教と科学技術のあり方などについて述べ、「福島原発事故は忘れてはなりません。今なお多くの方が苦しんでおられます。私たちは、原発という科学技術がどのような影響を及ぼすのか、本当に向き合ってきたのか、みなさんと考えていきたい」と語りました。

 安斎育郎・立命館大学名誉教授(安斎科学・平和事務所長)が福島原発事故による放射能汚染の実態調査について講演。帰宅困難区域である双葉、大熊両町の昨年12月と、2016年5月の放射線量を比較したデータを示し、「双葉町の一角で放射線レベルは約30%減少、大熊町では約半減した地域もある」と解説。双葉町のある民家の中が野生動物や空き巣などによって荒らされている様子などを示しながら「豊かな文化の営んできた人たちを追い出した原発事故の非人道性、罪深さを改めて痛感した」と語りました。

 核・エネルギー問題情報センターの舘野淳事務局長が福島原発で溶け出した核燃料(デブリ)の現状について講演。東京電力の調査状況を示しながら、「格納容器内の放射線量は即死レベルで、ロボットを動かすのも難しいほど。デブリの取り出しは非常に厳しい状況」と語り、もし原発を再稼働させるならば最低限、溶融炉心を受け止めるコアキャッチャーが必要だと強調。再稼働を進める政府を批判しました。

 大河原壽貴弁護士が原発をめぐる裁判の現状について報告。差し止め判決を勝ち取った伊方原発訴訟などの特徴を述べながら、原発ゼロを求める運動と世論を大きく広げるよう呼びかけました。

 参加者が原発問題について質問や意見を述べ、3人がそれぞれの立場から回答し、原発ゼロの実現を誓いあいました。