平和と命の大切さを訴え続けて20年を迎えた朗読サークル「ことのは」が、3回目となる自主公演を26日(土)、北区の北文化会館で行います。

■平和一筋に朗読劇、ぶれない活動に誇り

 戦後50年の1995年夏、新婦人府本部が募集した朗読劇「この子たちの夏 1945ヒロシマナガサキ」に参加した30人の有志が、翌年「ことのは」を結成。役者で「猫会議」を主宰する飛鳥井かがりさんを講師に、月2回の発声練習や稽古を重ね、毎夏の「平和のための京都の戦争展」と2月に行われている「Kyoto演劇フェスティバル」で、戦争の惨禍を伝える物語や詩、文芸作品などを上演してきました。今回は、60代から80代の9人が舞台に立ちます。

 上演作品は『たった一度の物語~アジア太平洋戦争幻視片~』(詩人・石川逸子著)を飛鳥井さんが33編に構成、演出しています。

 物語は、戦争の現実を見ていた風や波が語り部となったオムニバス形式で進みます。南方の戦地で、村の住民を全員殺害する掃討命令や略奪命令が出された兵士の見たもの、青い目の人形が校庭で焼かれる様子、軍隊から逃亡し自殺した若者、沖縄戦で泣き声が「うるさい」と赤ん坊を日本兵に殺された母親などの叫びが淡々と切々と語られます。「ただ普通に生きたかっただけなんだ」。兵士のつぶやきが胸を打ちます。

 結成時から参加している濱田和子さん(82)は「20年間、ぶれずに平和と命の大切さをひたすら言い続けてきた活動を誇りに思います。子どもの頃、軍歌を歌い、日の丸の小旗を振って出征兵士を見送りました。命の尊さを若い人に伝えたい」と話します。大阪空襲を体験した水江和代さん(76)は今もサイレンの音や夕焼けの色に戦争の記憶がよみがえります。「戦争の足音が聞こえてくる今こそ、平和の尊さを語りたい」と言います。

 飛鳥井さんは「言葉には力がある。戦争の体験を持つ人たちだからこそ、思いのある分、重みがある。心の奥深いところにある怒り、悲しみを言葉に乗せていけるはず」と期待を込めました。

 26日(土)14時・18時、北文化会館3階創造活動室。1000円。問い合わせ☎090・7112・5655(後藤)、☎090・1420・9271(水江)。

(写真=第37回「平和のための京都の戦争展」〔8月1日〕で朗読するメンバー

(「週刊京都民報」8月13日付より)