ヒガンバナ 氾濫した鴨川の濁流もかなり引いた18日、鴨川岸辺にもヒガンバナが咲き始めました。
 写真は四条大橋の少し下流の川端通り側の岸辺で、後方には濁流でなぎ倒された草やまだ茶色く濁って増水している河川、濁流で対岸の一部石垣も崩れた遊歩道も見えます。
 19日は旧暦8月15日で中秋の名月です。旧暦は太陰暦で、月が暦の基本で毎月15日は必ず満月の「十五夜お月さん」。ちなみに1日は新月で月立つで「ついたち」で朔(サク)=漢字の左側は逆、もりをさかさま打ち込んださまで、右の月と合わせて月の最初に戻ったという意味です。3日は三日目の月で三日月。八月の一五夜の月が一番きれいで中秋の名月といわれています。この日、京の各家や寺社では芒(ススキ)や萩(ハギ)をさし、団子や芋、酒などを供えて名月を鑑賞する風習があります。
 大沢池では龍頭船(とうりゅうせん)や鷁首船(げきすせん)など観月船で名月を鑑賞したり、上賀茂神社、下鴨神社などでも多彩なイベントが行われ、赤山禅寺ではへちま加持祈祷もあります。
 さて、ヒガンバナはこの中秋の名月(旧暦)頃から咲き始め、10月末頃まで咲いています。彼岸の日(今年は23日が秋分の日)頃に咲くのでヒガンバナ(彼岸花)という名前に。ちなみにヒガンバナの他にはマンジュシャゲ(曼珠沙華…天上にに咲く花という意味)の名前もよく知られています。この花を見ている人は心穏やかになるといいます。開花時には葉なしで、葉時は花なしということからハミズハナミズ(葉見ず花見ず)という名前も。また、真っ赤に燃えて美しい花なのに彼岸(あの世の花)の意味から、シビトバナ、ソウシキバナなど気の毒な名前からキツネノカミソリ、ショウキズイセン、ナツズイセンなどの名前もあります。
 ヒガンバナ(学名Lycoris radiata;リコリスはギリシア神話で海の女神)は種子がならない、球根でしか増えないのに、あちこちの土手、河川敷、墓場、畦道などに群生しているので不思議で、広がる理由にはいろいろな説がありますが決定的な説はありません。
 もし、ヒガンバナを見つけたらしばしたたずんでながめれば、季節を感じ、心なごませ、18号豪雨での被災から早く復旧されることを祈るのもいいかもしれません。(仲野良典)
 「曼珠沙華一むら燃えて秋陽つよし そこすぎてゐるしづかなる道」(木下利玄)