ツワブキ 東山区の高台寺の真向かいにある圓徳院前庭で、ツワブキが黄色い花を咲かせています。ツワブキは表通りから中門の間にある苔むす庭園のあちこちに大きな葉からニョキッと突き出た茎の先端に黄色い花を咲かせています。秋の観光シーズンで清水寺、高台寺から知恩院までは観光客が多く、圓徳院に訪れる人も多いです。表門から入ったところにツワブキがたくさん咲いており、「きれい」「素朴な花」「苔と門と黄色い花がぴったり」とツワブキを愛で、写真などに納めたりしています。あと1週間もすれば満開になります。
 ツワブキは食用にするフキと同じくキク科に属しており、日本古来からあります。花や葉が美しいので江戸初期から茶室のある庭園などによく植えられるようになりました。葉はフキの葉とよく似ていますが、少し厚みがありツヤがあります。そこからツワブキという名前が付けられました。いろいろ改良されて黄色い花や葉も白斑や黄斑などもあり、葉の縮れたボタンツワブキや遅咲きのカンツワブキなどもあります。若い葉柄を佃煮にしたものが九州名産のキャラブキです。薬用として葉っぱをあぶってはれ物や湿疹などに貼るとよく効くと言います。
 圓徳院は秀吉の妻北政所ねねの終焉の地で、没後9年後に高台寺の和尚を開祖に木下家の菩提寺として創設されました。方丈の襖は長谷川等伯の水墨画で重要文化財に指定されており、伏見城から移築された化粧御殿のすばらしい前庭は、桃山時代の枯山水庭園の様式で国の名勝に指定されています。(仲野良典)
 「ちまちまと した海もちぬ 石蕗(つわ)の花」(小林一茶)