常林寺 左京区の出町柳にある通称「萩の寺」と親しまれている常林寺の境内では、約800本の白や紫色の萩の花が見ごろを迎え、早朝から参拝者が大勢訪れ、満開に咲く萩を愛でています。
 13日には萩供養が営まれ、世継地蔵尊の堂内では紙芝居や声明公演などが行われました。三重県の津からきた女性は「白や紫のいっぱいの花がこぼれそう」と感動の声を上げながら見入っていました。
 同寺は1573年(天正元年)、念仏修行僧の魯道(ロドウ)和尚によって創建された浄土宗の寺。本尊の阿弥陀三尊と世継地蔵尊を祀り、若狭街道の口にあたり門前を往来する人々の信仰を集めました。門前は賀茂川と高野川の合流点で、両隣の長徳寺と正定寺の3寺が「砂川の三軒寺」と言われていました。江戸末期には若き勝海舟が京に滞在する時に宿坊としても利用していました。
 常林寺の萩は、10月上旬まで咲き、秋風になびく姿は何とも言えない風情を漂わせます。(仲野良典)