京都労働局が今月はじめに自動車部品製造会社の「ジヤトコ」(京都市右京区)に対し、同社で「派遣切り」にあった元派遣社員ら11人の雇用の安定を図るように指導していた問題で、「ジヤトコ」は11人の直接雇用を行わないことを労働局に回答していたことが21日に明らかになりました。11人が加入している労働組合「全日本造船機械労働組合三菱重工支部」は、「ジヤトコは直接雇用すべき」と訴え、同社に補助金を出している京都府に要請しました。
 京都労働局は8日に「ジヤトコ」に対し、労働者派遣法の期間制限に違反して、派遣労働者を働かせていたことを理由に、雇用の安定を図ることを文書で指導し、同社に回答を求めていました。「ジヤトコ」は20日に回答し、偽装請負で労働者を働かせ、派遣法の期間制限に違反していたことは認めましたが、経営難のために元派遣労働者11人の直接雇用は行わないことを示しました。
 21日に記者会見した「全日本造船機械労働組合三菱重工支部」の野村政勝書記次長は、「非常に残念な回答でした。私たちは18日にジヤトコに団体交渉を申し入れています。ジヤトコは交渉に応じ、労働者たちを直接雇用すべき」と語りました。
 同日に同労組は京都府庁を訪れ、府が「ジヤトコ」に対し、11人を直接雇用するように指導することを求め、要請しました。
 野村書記次長は、対応した京都府商工労働観光部の課長に対し、「京都府は『ジヤトコ』に雇用確保の名目で多額の補助金を出しています。雇用を守るために『ジヤトコ』に指導してほしい」と訴えました。
 府の担当者は、「20日に『ジヤトコ』側から派遣法違反していたことの報告があり、その時に、法令順守し、地域の雇用確保に取り組んでもらうように要請した」と話しました。同労組は改めて府が「ジヤトコ」に11人を直接雇用するように要請することを求めました。