京都市議会本会議(3日)での日本共産党・佐野春枝議員の「後期高齢者医療制度の廃止をもとめる意見書に賛成する討論」は次の通りです。

 私は、南区選出の佐野春枝です。日本共産党市会議員団を代表して「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」に賛成の立場から討論いたします。
 今年、4月1日から始まった「後期高齢者医療制度」は、高齢者を75歳という年齢で差別し、長年にわたって保険料を納めてきた国保や健保から無理やり脱退させ、保険料を「年金から天引き」し、高齢者の受けられる医療の内容を制限する許せない制度です。
 市民から寄せられた声を紹介させていただきます。
 夫が無年金で妻の年金が53,000円で生活しておられる80代の御夫婦がおられます。家賃35,000円を支払うと生活費すら残りません。それなのに介護保険料と併せて後期高齢者の保険料が天引きされる。どうして生活しろと言うのか、といっておられました。
 私は、無年金のご主人が、雨の中、人工肛門の袋を下げたまま、空き缶拾いをされている姿を何度も見かけショックを受けました。
 命と健康にかかわる医療に、年齢での差別と高齢者への新たな負担を持ち込み、長年社会に貢献してきた高齢者に苦しみを強いる、これほど”人の道”に反した政治があるでしょうか。
 この制度は、存続すればするほど、ますます過酷な痛みを高齢者に押し付け苦しめます。
 後期高齢者医療制度の保険料は、二年ごとに改定し、75歳以上の人口が増え、医療費が増えるにつれてどんどん値上げする仕組みです。しかも、滞納すれば資格証明書が発行され正規の保険証が取り上げられます。
 保険料を「年金天引き」にしたのも、どんどん値上げしても、「取りはぐれない」ようにするためです。こんな強引な「取立て」に高齢者の怒りと不信がひろがるのは当然です。
 さらに、75歳を超えたというだけで差別医療が導入されます。
 政府は、後期高齢者だけの「定額制」の対象になる医療をさらに拡大して検査・投薬・手術を制限すること、後期高齢者が、受診する医師を一人の「かかりつけ医」に限定し、複数の診療科を受診しにくくすることなどを検討しています。
 「標的」にされているのは高齢者だけでなく、すべての世代に重い負担を押し付け、必要な医療が受けられなくなる制度だということです。
 この制度のもたらす害悪は、はかりしれないものがあります。高齢者差別という制度の根本が間違っている以上、小手先の「見直し」ではなく、制度を撤廃するしか解決の道はありません。
 政府が後期高齢者と呼ぶ75歳以上の高齢者は、戦争の苦労を背負い、戦後社会の再建に身をていした世代です。年輪を重ねたお年寄りの豊かな知恵と経験は、社会の大きな宝です。制度の根本から間違っている後期高齢者医療制度は、絶対に廃止すべきです。
 同僚議員のみなさんのご賛同を訴えまして賛成討論といたします。