6日から国会で審議が始まった医療改悪法案。府内各地の医師会長や老人会・患者会などから反対の声を紹介します。
世界一の制度根底から変える
 日本の医療はWHO (世界保健機構) から世界一との評価を得ています。 国民皆保険制度があり、 だれでも保険証1枚で必要かつ質の高い医療が受けられ、 医療費もOECD加盟国で17位 (GDPに占める割合) と安いからです。
 今度の医療「構造改革」 は、 この世界一の医療制度を根底から変えるものです。 保険の効かない自費診療を組み合わせる 「混合診療」 を本格的に導入しようとしていますが、 いったん認めれば自費診療はどんどん拡大する一方で、 保険が効く診療の内容や質は下がっていく。 お金をかければいい医療を受けられるが、 お金のない人はまともな医療を受けられない社会になってしまいます。
 背景には、 日本の医療市場に参入したいアメリカ資本の保険会社、 製薬会社の圧力があり、 これに同調して保険会社を持つオリックスグループの宮内義彦氏が混合診療解禁など規制緩和の旗振りをしています。
 ワシントン大学に勤務していた時、心筋梗塞(こうそく)で運ばれた救急患者を前にして、 まず加入している保険会社に 「この治療は保険範囲内か」 と治療前に確認しなければいけませんでした。 アメリカの医療現場では既に日常風景です。 こんな医療制度にしてしまってはいけません。
 かきた・けいじ 1946年、 京都市生まれ。 76年、 川崎医科大学卒業。 アメリカ・ワシントン大学、 川崎医大勤務などを経て、 84年、 京都市上京区に垣田医院を開業。 05年度から西陣医師会会長。
(「週刊しんぶん京都民報」06年3月19日付掲載)