京都 町家の草木

白花曼珠沙華

シロヒガンバナ
シロバナマンジュシャゲ【ヒガンバナ科ヒガンバナ属】 日当たりの良いところが大好きな曼珠沙華。球根のような鱗茎は土のごく浅いところに固まりとなっている。
 田んぼや畑の畦道を曼珠沙華が赤く染めているのを見かけるなかに、所々で白いのが固まりになっているのを目にする。この白い花は、ヒガンバナとショウキランの雑種と推定されている。太陽に向かって伸ばした一本の茎に9つほどの花を一斉に咲かせる。
 赤も白もお彼岸の頃に咲くので彼岸花とも呼ばれて親しみ深い秋の花のひとつ。一つ一つの花の蘂は長く、まるで狐の口ひげのように放たれている。
 「この花は根っこに毒があるさかい、触ったらアカンえ」
 ハッキリとした色目の美しさから、手に取ろうと伸ばした腕はどきっとして引っ込められた。赤色の曼珠沙華の根は有毒とされているが、鱗茎をさらして澱粉をとり食用にすることもあるという。
 曼珠沙華には果実は出来ないのに、勝手に庭を移動して思わぬところで花を咲かすことがあるので不思議に思っている。鱗茎は確かに地下茎の一種だけれど、どうも勝手に地中を這いずり回る様子はみられない。さては、蟻や何かの昆虫の仕業かしら。虫たちが鱗茎の欠片でも巣穴へ運ぶことがあったなら、そこから新たな根が生える可能性はあるかも知れない。
2009年9月18日 12:42 |コメント0
絵:杉本歌子 プロフィール
1967年2月13日、京都生まれ。京都芸術短期大学美学美術史卒。現在、京都市指定有形文化財となっている生家の維持保存のため、財団法人奈良屋記念杉本家保存会の学芸員・古文書調査研究主任に従事。植物を中心にした日本画を描いている。画号「歌羊(かよう)」。

受け継いだ京の暮らし 杦庵の「萬覚帳」

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