京都 町家の草木

唐蠟梅

唐蝋梅
トウロウバイ【ロウバイ科ロウバイ属】  唐蠟梅(とうろうばい)は、蠟梅よりも丸みを帯びた花の形をもつ中国原産の落葉低木樹。花びらは名の由来となっている蜜蝋に似て黄色の半透明。香りも大変良い。この唐蠟梅は主に観賞用として江戸時代中期から庭園に植えられてきた。
 枝は90度ずつ向きを変えながら対生し、各枝には薄っぺらな葉が一対上向きに葉表を空にして弧を描き順序よく広がる。葉の付け根それぞれに蕾を下向きに付け、蕾がまだ小さく固いうちなど、その風情は確かに梅に似ていなくもない。
 花の咲く頃にも枯れ葉が枝に残っていることがある。手に取ろうとすると、まるで古く変質した薄洋紙のように、パリパリと軽い音をたてて儚い夢のように崩れ散ってしまう。花もまた、ぽろりと付け根から落ちてしまうことがあって、木のまわりには丸く黄色い花殻がいくつも転がり、なお甘酸っぱい香りをただよわせている。裏木戸のすぐそばに生えている唐蠟梅は、寒空に出かける家人の背を見送り、家路についたときには一番に迎えてくれる香りの木。
 蠟梅は根と茎が咳や喘息の薬に用いられるというが、はたして唐蠟梅はどうだろう。
2010年1月29日 11:57 |コメント2
絵:杉本歌子 プロフィール
1967年2月13日、京都生まれ。京都芸術短期大学美学美術史卒。現在、京都市指定有形文化財となっている生家の維持保存のため、財団法人奈良屋記念杉本家保存会の学芸員・古文書調査研究主任に従事。植物を中心にした日本画を描いている。画号「歌羊(かよう)」。

受け継いだ京の暮らし 杦庵の「萬覚帳」

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コメント

唐蝋梅ははじめて知りました。家の近くには香りのよい蝋梅が咲いていますが、唐蝋梅ではありません。香りも普通に咲いている蝋梅と同じなのでしょうか?

小島様
 コメント有難うございます。生憎と家には唐蠟梅しかなくて、残念ながら「蠟梅」の香りを知りませんので、何ともお答え出来ないのです。すいません。しかし、「牧野植物大図鑑」によると、花の形は随分異なっていますね。唐蠟梅の花の形の方がころんとして丸いです。蠟梅の花弁は細くて先細りのようです。
杉本歌子

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