学生向け就職ガイダンス 「第8回就職に関する講演会」が22日、伏見区の龍谷大学を会場に催され、約80人の学生が参加しました。同講演会は就職活動にむけて、雇用に対する関心や知識を持ち、学生が就職するにあたっての参考・援助になるように、伏見地区労、龍大教職員組合と個人加盟の地域労組のふれあいユニオンが共催したもの。
 龍大教組の奥野恒久副委員長は「現在の日本はブラックな社会環境になっている一方、そういう環境を作り替えていくことも我々だと思います。長時間労働やパワハラなどが原因で退職する現実も知って欲しい。働くとはどういう意味なのか、どう生きていくのかなどについて学んでほしい」と激励を込めて挨拶しました。
 講演は、20~30代の若者が中心になって労働相談活動などを運営しているNPO法人POSSEでの川久保尭弘さんが、「ブラック企業への対処術」と題して講演。上司からの罵倒や長時間労働で過呼吸症候群とウツ病を併発した新卒者の事例、長時間労働やフォロー体制もない残業、週末に月曜朝までの仕事を振られ、適応障害を発症したのに「能力不足」「ウツ病を隠していた」などのこじつけ理由で解雇されるなど、人間としての尊厳や人権感覚がないブラック企業の実態がつぎつぎ明らかにしました。
 ブラック企業を見分ける方法として、離職率が不自然に高い、大手就活サイトの情報をうのみにしないなどの注意点を説明。当初の会社の説明と違い、疑問や対応がおかしいと思ったら「約束」や言動、残業時間などを必ず記録・メモ・ICレコーダーなどを証拠としてとっておくこと、おかしいと思ったらサインや口約束や同意などに応じず、すぐに相談することで解決した事例もたくさんあることも紹介。困難な事態になってもあきらめず、弁護士や労組、POSSEに相談して、1人で悩み自己責任論に陥ったりしないことが大切だと強調しました。
 参加学生は、「まだ先のことだと思っていましたが、今からでも知識を身につけて自分の将来を考えていきたい」や「ブラック企業や就業に関心を持つ良い機会になった」など具体的な実態に驚きと、対処の仕方などが役に立ったと感想が多く寄せられました。
 後半は、各産業と職種別(今年は金融・公務員・民間企業営業・マスコミの4部門)に分かれて質疑応答が行われました。それぞれの分野の仕事内容の紹介や仕事や労働への誇り、色々な職種や採用条件の人が働いている職場での心構えや職場づくり、労働組合の役割などについての話があり、活発な質疑応答がありました。
 伏見地区労の板東利博議長が「ワタミなどのブラック企業が話題になっていますが、人間らしい働きがいのある職場や労働ができるよう、運動しています。今日の講演が役に立つと思います」と述べ閉会しました。(仲野良典)