ブラック企業問題について

 日本共産党が参院選で訴えた「ブラック企業を撲滅」という政策に、若者や学生から非常に大きな反響が寄せられました。こうした違法な働かせ方をする企業のあり方についてどう考えますか。

 英語で言う「スウェットショップ」(搾取工場)、絶望工場などといわれる違法労働やパワハラの問題ですね。今の若者がそういうことに関心を持ち、日本共産党の政策に共感したというのは非常に興味深いですね。若者、学生たちがそうした問題を変えるために声を上げるのはすごく大事だと思います。それだけ今の日本で、安定した雇用を提供できていないということが問題です。
 ただし、「ブラック企業撲滅」についていえば、あまり乱暴にこの言葉を使うと、「やっぱり共産党は企業を敵視してるんだ」としか思ってもらえない状態をみずから定着させることになってしまいますね。企業が企業である以上、もうけを追求するのは当然です。むしろ、普通の企業が普通ではない手段に訴えないと収益を確保出来ないような状況があるとすれば、そこにフォーカスしていくべきでしょう。むろん、悪質な企業についてその違法性を指摘し、スジを通して告発していくことは実に重要です。このあたりで共感をさらに広げられるかどうか。日本共産党の知性が論戦で試されるところではないでしょうか。

 同志社大学大学院・ビジネススクールの学生の中には、府内の経営者やビジネスマンが多いと聞きました。京都経済の現状についてどう思いますか。

 ビジネススクールには、大企業の中堅幹部、中小企業の経営者、西陣など伝統産業の担い手など、実に多様な背景を持つ学生さんが集まって下さっています。皆さん、経営環境の厳しさを痛感されているのが実情だと思います。
 もとより、アベノミクスによる景気浮揚の実態は見当たらない。いわば、「どうも、気分が変わってきているらしい。そのような気分がする」というような感じでしょう。

バブルの先には破たんしかない

  アベノミクスや、今後の日本経済の行方について、どう考えていますか。

 安倍首相はさかんに「賃金が上がるのはこれから」とか、「これから景気が良くなる」という類いの発言を重ねています。要は、それだけ国民に景気回復の実感がないということですよね。
 かりに経済活動に実際に勢いがついて来たとしても、それで、彼らのやり方を肯定していいのか。結果よしなら、手段は問わずでいいのか。手段に問題があれば、結局のところ、結果も本質的なところで問題と矛盾と脆弱性をはらんだものになると思います。株式バブルを引き起こすことで、浮かれ景気を作り出す。浮かれの輪が広がっていって、それが経済成長率の上昇につながる。もしそのような展開になったら、それでめでたしめでたしなのか。そんなことはないでしょう。バブルの行き着く先はバブルの破たんでしかありえません。
 金融政策がバブル製造政策と化し財政政策は財政破たんを導くばら撒きの経済学に終始する。そして、日本経済が当面する「豊かさの中の貧困問題」に背を向けた成長戦略。この調子で突っ走ったのでは、目先の「気分景気」が一部で盛り上がったとしても、日本経済に本当の夜明けが来ることはないでしょう。(「週刊しんぶん京都民報」2013年8月25日付掲載)