「建国記念の日」不承認京都府民のつどい 第46回「建国記念の日」不承認京都府民のつどい(同実行委員会主催)が11日、京都市左京区の教育文化センターで行われ、180人が参加しました。
 京都平和遺族会の倉本頼一代表があいさつ。「建国記念の日」は戦前の天皇制国家が神話をもとに侵略戦争美化の道具としてきた「紀元節」にあたり、戦後、国会で廃止決議をしたにもかかわらず、1966年に自民党政権が制定したと指摘。「安倍政権下で再び現実になる危惧を抱いている。日本の現状と歴史などを考える日にしてほしい」と述べました。
 教科書京都ネット21の大八木賢治氏が基調提案を行い、安倍内閣の危険な本質を分析し批判している海外メディアの一方で国内メディアが無関心を装っていると批判。「中国や韓国にとって領土問題と歴史問題はリンクしているが、日本では歴史は教科書レベルで認識が違う。その原因は日本が植民地支配と侵略戦争の責任をあいまいにしているからだ」と話しました。
 東アジア近代史学会の井口和起会長が「近代日本の天皇・国境・そして平和」と題して講演。国境確定を中心にした近代日本外交の事実経過を振り返り、「天皇制の成立と日本軍国主義の形成が領土問題と不可分に進められたことは否定できない」と述べ、中国や台湾、韓国、北朝鮮が領土問題を歴史問題や日本の軍国主義の問題と一体としてとらえることに相応の根拠はあるとしました。
 また、与謝野晶子の歌や論説などから、晶子の天皇観や戦争・平和について、学者の見解をひも解きながら解説。晶子が自分の生活から物事の本質を考える人であると同時に平安期の王朝文学へのあこがれから揺るぎない天皇信頼もあったと指摘。素朴な愛国心と国家主義、天皇主義の間で揺らぎ、葛藤していた晶子の姿を紹介しました。
 そして「古くからの日本人の価値観や精神構造の中でいかに多数派になるか」という評論家の加藤周一氏の言葉を引き、「平和な世界をつくるためには反中、反韓などの感情を自分で立ち切る強さと優しさを持たなければいけない」と、地道な草の根の運動と対話の重要性を強調しました。