ナラ枯れ問題 終息集会 ナラ枯れの防除に取り組んできた市民団体がその原因であるカシノガキクイムシ(以下、カシナガ)の移動によりいったん終息したとして9日、伏見区の醍醐交流会館で報告集会を行い、36人が参加しました。「いいまちねっと東山」「勤労者山岳連盟自然保護委員会」「醍醐の自然を守る会」「やましな山の会」が主催したもの。
 集会では、醍醐・日野地域と左京区の吉田山でナラ枯れに防除に取り組んできた射場寿美子さんと榊原義道さんが報告。射場さんは2010年7月から2年余で26回、山主や町内会も巻き込んでのべ206人の参加で、255本の木にビニールやヨウジでの手当てを行った活動を紹介。「日野は終息ですが、他の地域からの呼びかけがあれば参加したい」と話しました。榊原氏は06年からの取り組みで、特に被害が集中した07年の5、6月に2日に1回ヨウジの打ち込みをした結果などを報告。被害は集中的に起こり、カシナガの嗜(し)好はコナラが最も強いことなどを指摘。ヨウジを打ち込んだ吉田山とほとんど手当てができなかった瓜生山の比較では、吉田山の枯死率が3.9%に対し、瓜生山は34%で、半巻きのビニールと虫が侵入した後のヨウジの打ち込みが有効だったことを証明しました。
 ナラ枯れ防除で中心的に取り組んでいる主原憲司さんが全国的な被害の特徴や現状、昆虫の特性や防除方法などについて講演。温暖化の影響で現在、広島、滋賀、愛知、福島などへ被害が拡大し、ナラ類の減少が森林生態を変え、そこに帰属する昆虫の生息が危惧されていると指摘。カシナガがブナ科の木に穴をあけて菌を持ちこんで作った酵母をえさにしてコロニーを作り、木の導水管を断ち切り、枯死させる仕組みを説明しました。日本と同じくカシナガ被害が進行している韓国では、国家プロジェクトとして防除のために集合フェロモンを開発していることも報告されました。主原氏は「昆虫も被害者だと考えて欲しい。みなさんの協力で防除方法は確立されました。もし被害を発見されたら資材はいつでも用意できます。枯れた木の後に植樹をしています。皆さんの協力をお願いしたい」と話しました。
 日野地域で防除活動にも参加していた日本共産党の西野さち子京都市議も発言しました。