「大飯」運転やめよ/住民1109人が提訴 京都府、滋賀県、大阪府などの住民計1109人が29日、国と関電を相手取り、7月に再稼働した関西電力大飯原発(福井県おおい町)の運転差し止めと損害賠償を求めて、京都地裁に提訴しました。
 訴状によると、福島第1原発事故で、原発はひとたび大事故が起これば広範囲にわたって甚大な被害をもたらす危険なものであることが明らかになったにも関わらず、関西電力は同原発3、4号機を再起動させ、「原告らに、常にいつ生命、身体、健康の被害が発生するか分からない差し迫った危険性のもとでの生活を強いている」と指摘。国は「再稼働を容認し、大飯原発の停止、廃炉を命令しなかった」などとして、運転停止と提訴から停止まで原告1人につき毎月1万円の損害賠償を支払うよう求めています。
 この日は、原告と弁護団の約50人が京都地裁を訪れ訴状を提出。会見では、弁護団代表の出口治夫弁護士は、「司法も原発の『安全神話』に寄りかかって、安全性についての実態的な判断に踏み込まず、手続き的、形式的な判断に自己規制してきた。福島第1原発事故の状況を踏まえた司法判断を強く求めていきたい」と述べました。
 提訴呼びかけ人で原告の広原盛明・元京都府立大学学長と宮本憲一・大阪市立大学名誉教授がそれぞれ、「原発事故はその土地の持つ資源や可能性を未来にわたって閉ざしてしまう。世界一原発が集中立地する若狭湾岸で事故が起これば福島の比ではなく、再稼働を許してはいけない」(広原氏)、「災害が進行中でかつエネルギー政策に関する方針もないなかで運転再開したことは異常で、国際的にも衝撃を与えるような事件。今夏の経過からいっても、運転の不当性は証明されている」(宮本氏)と話しました。
 原告で、昨年8月に福島市から自主避難してきた女性(47)は、「もし大飯原発で事故があれば、子どもに2重被ばくさせてしまう。もう2度とだれも被害者になってほしくないし、原発で不幸になる人を出したくない」と訴えました。
 同訴訟では、原告1万人を目指しており、今後も追加提訴していく方針です。