京都会館建て替え計画で、「遺産危機警告」を発令する意見書を市に送った「イコモス20世紀遺産に関する国際学術委員会」のリィーッタ・サラスティエ委員(建築家、理学博士)=フィンランド=が、本紙のインタビューに対して次のように発言しました。

 京都会館は、日本を代表するモダニズム建築家の一人である前川國男の重要な作品です。
 京都の近代遺産としての京都会館の重要性は疑う余地もありません。建築そのものの価値に加え、インテリアも含めてこれまでよく保たれてきた点も評価できます。建物を取り壊して内側に新築する京都市が示す改修案は、この建築の最重要部分に抗おうとするものです。
 「20世紀遺産に関する国際学術委員会」のシェリダン・バーグ委員長からの意見書は、委員会として正式な評価の手順を踏んだ上で、世界の建築保存のプロたちがこの建築に注目しており、その行く末を真剣に心配し、よりよい保存への計画の熟考を期待していることを、専門家の立場から表明したものです。
 京都会館は、国際的にも重要な建築で、その価値は市当局と議論するまでもなく明白です。
 市が発表した計画案は破壊に近く、京都会館だけでなく、市の建築遺産全体への直接的な脅威でもあると思います。(「週刊しんぶん京都民報」2012年9月16日付掲載)