ワルナスビ ワルナスビの原産は北アメリカで明治時代に渡来した帰化植物でいまでは全土で見られるようです。
 ワルナスビ(Solanum carolinense:ナス科ナス属の多年草)は名前からしていかにも悪そう。柳宗民著『柳宗民の雑草ノオト』第2巻に名前の由来が書かれています。植物学者の槙野富太郎博士が三里塚(今の成田空港あたり)の牧草地でみつけ、持ち帰って育てましたが、異常なまでの繁殖力で、刈り取っても刈り取っても見る間に広がり近所の畑まで進出したとか。博士は憎さ百倍で「悪茄子:ワルナスビ」と命名したそうです。
 小さな花はナスビの紫がかった小花とそっくりです。ナス科には赤い実のホオズキやヒヨドリが好きなヒヨドリジョウゴや食用のナスビの他にトウガラシにジャガイモなどがあってみんなナス科の仲間です。ワルナスビには葉っぱや茎には触ると痛い棘があり、しかもジャガイモの新芽に含まれる有毒なソラニンがありますので牛などの家畜の餌には適しません。外来の雑草でもツメクサ(クローバー)などはいくら広がっても嫌われたりしませんが、セイダカアワダチソウなどは嫌われものです。
 でもワルナスビの小さな薄紫の花はとても可愛いです。写真は伏見城外堀の濠川が宇治川に合流する伏見区三栖閘門付近に咲くワルナスビです。じっくり鑑賞してやってください。(仲野良典)