経ヶ岬分屯地戦闘訓練 日米が一体となって海外で軍事行動を行うことを想定した都市型戦闘訓練が3日、京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯地で一般公開されました。同基地の55周年記念基地祭の一環として行われたもの。
 同訓練は、同基地の第35警戒隊と陸上自衛隊福知山駐屯地の第7普通科連隊の協同で行われ、顔を黒い布で覆った3人のテロリストが建物を占拠したと想定し、自動小銃を構えた隊員が突入し制圧するものです。
 第7普通科連隊は、2005年3月に米海兵隊特殊部隊とともにイラク市街地での戦闘訓練を受けた大阪の部隊から指導を受け、同年9月に福知山市の長田野演習場に建設された「市街地訓練施設」で、米海兵隊の訓練を手本に“海外で戦う”訓練を実施しています。
 同訓練を取材した舞鶴平和委員会の高橋一郎さんのレポートを紹介します。


「戦う軍隊の姿見せた―航空自衛隊経カ岬基地祭―」
 日本海の眺めが美しい丹後半島の突端、京丹後市の宇川小学校区にある航空自衛隊経カ岬分屯基地で開庁55周年基地祭が開催されました。陸空自衛隊協同訓練や会場内と周辺の様子について報告します。
 伊根町の舟屋を過ぎ基地に近い宇川中学校グラウンドに駐車(駐車スペースは500台分くらい。午前中にほぼ満車)。隣の小学校から基地までは民間のシャトルバスが運行していました。
 基地祭が始まる午前9時前にもかかわらず、望遠カメラを手にした人や子どもの手を引いた若い女性も高齢の夫婦も屋台の並ぶ前を基地に入っていきました。受付テントのテーブルには来ひん用の赤い大きなリボンの名札が50個ほど並んでいます。体育館のような建物のステージでは、峰山中学校ブラスバンド部の生徒男女30人ほどが2人の教師の指導で懸命にリハーサルに取り組んでいました。基地内の広場には、埼玉県入間基地からパトリオットミサイルと円筒形の大きなアンテナを積んだトラックや荷台がレストランの調理場の機能を持つ車、地上設置の対空20㍉機関砲(6つの筒穴)、車体の天井がサンルーフのように開いて機関銃と射撃手が顔を出す軽装甲車などが自由に乗ったり、触れたりできるようになっていました。
 9時30分になると、「第35警戒隊」の看板がかかった5階建の隊舎は物々しい雰囲気になりました。200人前後の見物人がこの隊舎を見つめています。ここで、陸上自衛隊と航空自衛隊20人前後で協同の掃討訓練が始まったのです。展示訓練の概略と空砲だが音が小さくないことの説明と注意の後、「訓練開始」のアナウンスとともに戦争映画のようなBGMが流れ、そのスピーカーから訓練参加の4人単位の各小隊からの通信の緊迫した声が響きました。顔を布で覆った中東テロリスト風の「特殊工作員」なる3人が建物に潜入、占拠したとの想定の下で、右から陸自、左から空自の各小隊が自動小銃を撃ちながら突入の機会をうかがいます。2台の軽装甲車も駆けつける中、屋上にはヘリから降下した(と想定される)8人が指令を待っています。部隊の突入を機に、屋上の部隊の2人がロープを抱えて、3階の窓へ空中ブランコのようにして一気に突入、敵工作員をせん滅して展示訓練は終了しました。
 実戦さながらで体にまで響く銃の音や屋上からの突入に子ども、女性を含むたくさんの見学者たち全員に拍手は広がりませんでした。午後からは、F15や対潜ヘリなども基地上空を飛んでみせる計画が案内されていました。
 5年ほど前までは、今回のような都市型戦闘訓練について、米軍からの指導を受ける自衛隊員がとまどっている様子がテレビで報道されていました。現在では、自衛隊が自力で十分に実施していることに改めて驚かされ、日本国憲法の平和主義に反するゆがんだ日米安保体制の下で、自衛隊が米軍などと一体となって軍事行動に参加できるようになっていることに不安が募るものとなりました。