豊かな自然を生かそう

 「こんな山里で、続々と人を集めるなんて、画期的や」
 口丹地域で、話題になっている団体があります。脱原発と自然エネルギーの普及を目指す「口丹自然のくらし協議会」です。
 昨年7月、京丹波町和知で、スウェーデンの脱原発の取り組みを描いた映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(鎌仲ひとみ監督)の上映会を開催しました。これに先だって、南丹市美山町で2回試写会を開催。来場者は合計400人を超えました。綾部市からはマイクロバスで約30人が参加。地元の注目を集めました。
 「会」の藤村伸二さん(36)は、「京都市内なら、2000人規模の集まり。地域のみんなが原発問題を考えるきっかけになった」と胸を張ります。
 同会は、映画会の前後6月と8月、京北(京都市右京区)と和知で、放射能汚染をテーマにした講演会を4回開催。合計150人が参加しました。11月には、再び和知で核問題を訴える映画の上映会を開き、50人が入場しました。
 「会」を発足したのは、口丹の豊かな自然に憧れ、Iターンしてきた人たちです。代表は、陶芸家・石井直人さん(57)とドイツ人で関西大学名誉教授のデトレフ・シャウベッカーさん(70)。スタッフの中心は、30~40代の子育て世代です。約20人が参加します。
 12月、美山町鶴ケ岡。会員宅で、来年の取り組みの相談会が開かれていました。間伐材を使ったまきストーブが、みんなを温かく迎えます。マイクロ水力発電の設置やまきストーブの普及など話はつきません。「会」では2月12日、ウラン採掘の実情を描いた映画「ホピの予言」(宮田雪監督)の上映と製作元の辰巳玲子さんの講演を計画しています。
 前出の藤村さんはこの日の集まりに、妻と5歳の子どもを連れて参加しました。
 「原発なんていらない。家族みんな、安心して暮らし続けたい」。「会」みんなの願いです。(「週刊しんぶん京都民報」2012年1月1日付掲載)