「3・11子どもの命と教育」をテーマに「第42回京都教育センター研究集会」が24日、京都市左京区の京都教育文化センターで開かれ134人が参加しました。
 「福島の現状から命と教育を考える」と題したパネルトークでは、福島第一原発から20キロ圏の南相馬市にある県立小高工業高校教諭の大貫昭子さんが事故直後、情報が住民に伝わらない中での混乱した様子を説明し、「福島のことを1人でも多くの人に知ってほしい。原発はいらない。私たちが体験したことを他の人に体験してほしくない」と訴えました。大貫さんは、県教委がいわき市など5カ所に分散通学している同校の生徒を来年度から30キロ圏の南相馬市原町区に集約しようとしていることについて、様々な場所に避難している生徒が通うことの困難、生徒が転校や寮に入ることになるなどの問題点を説明し、「現状をまったく無視している。親と生徒を引き離す事態を招く」と批判しました。
 また、実家が福島県相馬市にある新婦人府本部の澤田季江事務局次長が福島の被災者との交流や京都市内で放射能から子どもを守ろうと活動しているママ・パパの取り組みを紹介しました。
 安斎育郎立命館大学名誉教授が「原発・放射能問題と真理・真実」と題して記念講演。安斎氏は、放射能汚染に敏感になりすぎて、風評被害を広げないためには、「過度に恐れず、事態をあなどらず、理性的に怖がることが重要」と指摘。原発は原爆から始まり戦後、世界を力で支配しようとする米ソの競争から、アメリカの対日エネルギー戦略として日本に持ち込まれたと紹介。これからのエネルギー政策を決めるのは国民自身であり、「ひとりひとりが主権者として国のありようを考えなければいけない」と強調しました。
 25日には同会場で「地方教育行政」や「生活指導・発達問題」などをテーマにした分科会が開かれます。