北朝鮮による拉致被害者家族連絡会元副代表で東京電力幹部社員だった蓮池透さんが原発問題について語る講演会(同実行委員会主催)が15日、キャンパスプラザ京都(京都市下京区)で開かれ、市民ら270人が参加しました。
 蓮池さんは1977年に東電入社。2009年退職時までに、福島第一原発で原子炉の圧力や水位、放射線量を計測する保守管理業務、ウラン燃料の再処理などを所管する原子燃料サイクル部部長などに従事し、原子力安全・保安院との折衝にもあたっていました。
 蓮池さんは、担当していた同原発3号機の建屋が水素爆発したことに疑問を呈し、「設計上、炉心から格納容器に水素がもれるルートはあるが、建屋内にもれるルートはない。この爆発が放射性物質を撒き散らした要因であり、東電はきちんと国民に説明するべき」と指摘。また、政府・東電が炉心温度が100度以下になれば「冷温停止」で収束に向けて一歩前進としていることについて、「燃料がメルトダウンし、さらに格納容器の地下にも抜け落ちている可能性がある中で、炉心温度だけで判断するのは誤り」と述べました。
 九州電力や北海道電力で発覚した「やらせ」問題に関連して、蓮池さん自身が東電時代に関わった事例を紹介。旧通産省が主催する説明会で事前に意見を募集した際、住民から5件の反対意見が寄せられたのに対して、30件の“賛成”意見をねつ造したことを明かし、「賛成対反対が常に10対1ぐらいにしろと言われていた」と語りました。
 最後に、使用済み核燃料の再処理業務に携わる中で、「最終処分地を受け入れる自治体はなく、核のごみを処理する方法はない。原発は自滅する」という考えに至ったと述べ、「原発に未来はない。原発をやめて、代替エネルギーの開発を急ぐべき」と強調しました。