教育講演会 山本由美和光大学教授を迎え「学校統廃合と小中一貫教育」と題した教育講演会が8月28日、福知山市民会館で開かれ85人が参加しました。主催は京教組・福知山教育ネット。
 山本氏は日本の学校統廃合の歴史的経過や最近の市町村合併と連動させた新自由主義教育改革の現状、小中一貫教育(校)のねらいなどについてのべました。
 山本氏は冒頭、福知山市の学校統廃合計画について、3町の福知山市への吸収合併とその後の財政悪化との関わりがあり「段階的な巧妙な大規模統廃合計画」と指摘。「1学級の20人程度の確保」と規模に執着、大規模校のデメリットに全く触れていない、「シームレス学園構想」など「福知山の特異性を持ちながら各地で拡大する学校統廃合の典型的な手法」と述べました。その対抗軸として教職員組合や教育ネットなどの頑張りがあり父母・地域との連携を強めるよう取り組みを励ましました。
 山本氏は財界の意向を受けた全国モデルで最近矛盾が噴出している学校選択制の品川の例や、4月に開校した京都の大規模統廃合とコミュニティスクールの例などを取り上げながら、一貫教育(校)のメリットとされている「中1ギャップの解消」について、「不登校の減少は実証されていない。むしろ品川では増加している」とし、検証の新たな視点として発達心理学者の都築学氏の「中学入学前の『不安』は決してネガティブなものではなく、『不安』は子どもの成長・発達を促す役割」との研究事例を紹介。
 さらに、杉並区議会では教育長が「小中一貫教育は、子どもたちにとってどんな意味を持っているのか、どんな影響を及ぼすのか、十分検証されていない」と答弁したことを紹介し、そもそも「教育効果」が検証されていない、保護者の教育要求を逆手にとり強引な統廃合を進め、教職員の多忙化と子どもの「荒れ」が生まれていると強く警告しました。
 講演後の交流では京丹後市、丹波町、宮津市・伊根町など北部各地からの報告がありました。福知山からは教育ネットの発言と共に「佐賀の教育を考える会」の世話人やお母さん達が「佐賀の文化を残したい」「複式では自分で取り組む力や集中力がつく。悪いものではない」「子どもが地域で大事にされているので嬉しい。佐賀小で卒業させたい」と訴え、参加者の大きな共感の拍手に包まれました。
 閉会の挨拶で、安達忠志福知山教育ネット代表は「難しいテーマにもかかわらず全国と福知山が違和感なく結びついたお話で遠くまで来ていただいてよかった」とお礼を述べました。
 参加者からは「統廃合したらすべて解決するみたいに言うのもおかしい。子どもたちは地域の学校が好きで、そこへ通いたいと言っている。その思いを大切に出来るように頑張らないと」「教育には素人なので、小規模・複式学級の教育の成果に十分確信が持てなかったが今日の話を聞いて良いところがよく分かった」「福知山の教組がこんなに協力して運動していることを初めて知った。この統廃合、小中一貫の問題性をとても身近に感じることが出来た。教員志望であるが教組の取り組みに励まされた」などの感想が寄せられました。(山本賢二)