使い手歓迎しない「貸し館」で終わる

 日本で唯一の国立バレエ団を有する新国立劇場の完成(04年)から7年間、私はここでバレエマスターを務めてきました。
 舞台ができた当初、床が硬過ぎて、ダンサーの足に負担がかかってしまうという問題が起こりました。急きょ、バレエマットを全面に敷き詰める改善が図られました。舞台を本当にいいものにするためには、演じ手、振付家、演出家など現場の意見がいかに大事かを痛感しています。
 京都会館の建て替えに際して、市は舞台関係者の声に耳を貸そうとはしてきませんでした。このまま、行政の一方通行で建て替え計画が進められるのなら、使い手から歓迎されない、単なる貸し館に終わってしまうのではないでしょうか。
 舞台のニーズは、現場の人間が一番よく知っています。市は計画を進める前に、現場の人間の声を聞いてほしいと思います。(「週刊しんぶん京都民報」2011年6月19日付