乙訓革新懇が学習会 乙訓革新懇は1日、長岡京市中央公民館で原発問題学習講演会を行い、子連れの若いママさんなど90人が参加しました。臨時託児所には10人近い小さい子どもたちが預けられました。
 講演では講師の市川章人さんが映像を使ってわかりやすく解説。福島第一原発はどんな事故を起こしたのかについて、その深刻さは100日たっても収束の見通しが立っていないことや原子炉・原子力発電のしくみ、核分裂にすべての災いの元があること、放射線とはどんなものかなどを詳しく説明。とくに細胞分裂の活発な器官や胎児、幼児は被害を受けやすく、被害を避けるためにはできるだけ被ばくしないことやとくに体内に放射性物質を取り込むことは極力避けることが大切と強調しました。
 日本の原発推進勢力は世界の重大事故から何一つ学ばなかったとのべ、1979年のスリーマイル島原発事故のときは「米国の運転員は質が低い」と一蹴し、1986年のチェルブイリ事故のときは「ロシア型は日本が使っている米国型と違う」などと言って安全神話にどっぷりつかっていたときびしく批判。日本に安全神話が必要だった理由として、重大事故時の被害額の試算で、賠償額が国家予算を超えたことや原発立地反対運動を抑えるために必要だったとのべました。
 そして、1970年の大阪万博を機に原発の商業運転が始まった時には、安全運転は30年間が目安で、現在では19基が30年を超え、敦賀1号と美浜1号は40年を超えていると告発。安全より電力会社の利益を優先したと厳しく批判しました。市川氏は「原発の本質は未完成の技術とどうにもできない核のゴミ、死の灰にあり、原発からの撤退・エネルギー政策の転換が必要だ」と強調しました。
 その上で、ウラン燃料はいずれ枯渇するもの(100年未満か)であり、必ず自然エネルギーに移行しなければならず、原発1基の建造に5000億円、さらに廃炉、廃棄物処理、事故処理などにかかる天文学的数値の費用を自然エネルギーの拡充に向けるなら大きな進展が期待できるとのべ、「日本は自然エネルギーの宝庫」として(1)急流河川が多い(2)周囲がー・波力発電・潮力発・海洋温度差発電(3)豊富な森林資源―バイオマスエネルギー(4)強い太陽光―太陽光発電・太陽熱エネルギー(5)海風を含む豊富な風―風力発電(6)世界第3位の地熱─地熱発電の可能性を示しました。
 市川氏は「もっとも根本的な問題は現在の大量エネルギー浪費社会・24時間社会、大量生産、大量消費、大量廃棄を見直すことが大切。皆さんも考えてほしい」と呼びかけました。
 参加者からは「日本に原発はいらないと思った。地震が起きたら原発事故が起きることを知り原発をなくして自然エネルギーに転換してほしい」「原発や放射能などよくわからずこわいと思っていたが今日の講演を聞いてもっとこわいものだとわかりました」などの意見がよせられました。講演が終わった後も若い主婦などから次々と質問をうけました。(梅林照夫)