京都・嵐山に、星野リゾートが高級リゾート旅館「星のや京都」を開業する際、京都市の風致地区条例違反の工事をした疑いがあるとして、市に公開質問をしてきた二つの住民団体が22日、経過報告会を京都市中京区のハートピア京都で開きました。 主催したのは、「京都・水と緑をまもる連絡会」と「京都・まちづくり市民会議」。
 星野リゾートは、保津川沿いにあった旧老舗旅館「嵐山温泉嵐峡館」の経営を引き継ぎ、「星のや京都」として再建することを計画。再建のための現状変更工事を08年に申請。市の許可を受けて工事を行いました。その際、市の許可を逸脱し条例違反の工事を同社が行った疑念があるとして、両団体は今年3回にわたり公開質問書を市に提出してきました。
 中島晃弁護士が経過を報告し、「星野リゾートは大規模な工事を予定していないと新聞には報じられていたが、実際には貯湯槽など新たな施設を設置し、擁壁の設置や盛り土など開発行為も行っている。これを市は事後承認した疑いがある」と指摘。その上で、「質問に対して市は、追加工事の度に申請がされ、市は許可してきた。経過を記録した文書は廃棄したなどと無責任な回答をしている」と市の対応を批判しました。
 また、この間新たに判明した問題として、「保津川を船で上ってくる旅館客のため、コンクリート杭の船着場が設置されている。これも、河川法に基づく府の許可を逸脱して工事をした疑いがある」と指摘し、「行政がまともな指導をしない背景には、中国人などの超富裕層をターゲットにした高級リゾートを誘致したいという意向がある。国『総合特区』を活用して、様々な規制緩和で企業を呼び込もうとしている。星のや京都は、そのモデルケースだ」と述べました。
 「嵐山温泉嵐峡館」の関係者も参加し、「貯湯槽はヘリコプターで運ばれ、設置のためにブルドーザーで造成工事が行われていた。違反工事だと何度も市に言ったが、市の担当者が現場を見に来たのはそれから2カ月後。何の指導もしてくれなかった」と訴えました。