シベリア抑留裁判 国家による棄民政策を問う「シベリア抑留展」が16日まで、下京区のひと・まち交流館京都で開かれています。13日には、シンポジウム「今、再認識 国賠訴訟の意義」が行われ、20人が参加しました。主催は「棄兵棄民政策による国家賠償をかち取る会」(林明治代表)。
 シンポでは、大阪高裁で係争中のシベリア抑留訴訟の原告や弁護団長らが訴訟の意義や26日の口頭弁論への支援を呼びかけました。
 村井豊明弁護士は提訴からの裁判の流れや論点を整理して、29日の口頭弁論の内容などについて報告。新たな証拠として1982年(昭和57)から3年間開かれた戦後処理審議会の文書を入手し、官僚らの発言からシベリア抑留者への保障はしないという方向で結論がだされていたことを明らかにすると話しました。また、6月に成立した「特別措置法」について、一定の評価をしつつも「日本政府の責任については一言も触れていない」とのべ、引き続き真の解決にむけた法廷内外の運動の強化を呼びかけました。
 原告団長の林明治さん(85)は、提訴から5年になり全国各地へ講演や支援の呼びかけに回っていることなどを紹介。「国は誤った政策を認め謝罪してほしい。そして子子孫孫まで戦争の無い平和な社会になってほしい、これが私の願いです」と粘り強くたたかう決意を表明しました。
 大阪の旭区平和委員会の近藤正会長が原告の訴えを聞いて、会をあげて支援している活動内容を報告しました。
 日本共産党京都府委員会の成宮まりこ子国政委員長が、02年以降の同党の国会論戦で「解決済み」から「厚労省と外務省とで検討する」と答弁を引き出したことや衆参にシベリア抑留者に保障を求める法案を共同で提出するなどの動きを紹介。「日本政府の棄民政策の責任を問う裁判闘争の勝利に向け力を尽くしたい」と決意を表明しました。

 同訴訟は、第二次世界大戦後、旧ソ連によってシベリアに抑留された元日本軍将兵ら計59人が、国に対し1人当たり1100万円の損害賠償を求め、07年12月に林明治氏らが提訴した裁判。一審の京都地裁では09年10月に請求を棄却する不当判決が出され、控訴審ではすでに2回目の公判が終わり、3回目となる29日には、新書「検証シベリア抑留」を出版した白井久也氏が証人として出廷します。