20100724-02jpg.jpg 太平洋戦争で志半ばで戦死した画学生=戦没画学生の絵や遺品などを展示している長野県上田市の美術館「無言館」館主・窪島誠一郎氏と戦没画学生の遺作の収集・保存に尽力した画家の野見山暁治氏の対談集『無言館はなぜつくられたのか』(かもがわ出版)の出版記念講演会が23日、京都市内で開かれ、窪島氏と立命館平和ミュージアムの安斎育郎名誉館長との対談も合わせて行われました。
 200人余の聴衆を前に窪島氏は無言館建設のきっかけとなった野見山氏との出会いや戦没画学生87人の遺族をめぐった旅、美術館建設にいたった経緯などを自分の半生と重ね合わせて語り「反戦平和などという大仰な意思でなく、戦争に行く直前まで好きな絵を描き続けた若者たちがいたこと、そして野見山さんの『このままにしておけば戦死した仲間の絵が地上からなくなってしまう』という一言に心動かされた」とのべました。
 また、対談で両氏は、戦時中に戦争の絵を描けば国から1年分の絵の具が配給されたという逸話や野見山氏が出征時に「私は日本に生まれたる世界の1市民。なぜ他民族と戦わねばならぬのか」とのべた意味などについて、語り合いました。

 『無言館はなぜつくられたのか』(かもがわ出版、四六判上製218ページ、1600円=税別=)