京都府職員労働組合連合執行委員会は23日、「府幹部職員の地位及び行政組織利用問題」についての「見解」を発表しました。
 見解の全文は以下の通り。


 今年4月執行の京都府知事選挙で、前知事室長が庁内の部局等の主要な幹部職員に対し、現職の山田啓二知事候補が行う街頭演説を聞きに行くことを促すメールを送っていたことなどが明らかになりました。
 今回の事件は、府民のくらしを支えるために最前線で懸命に頑張っている職員に対する府民の信頼を損ねる重大な問題であり、怒りをもって抗議するものです。
 この問題に係わっては、府職労連は、ただちに知事に対し次の3点を申し入れたところです。

  1. 今回の問題について、府民と府職員に対し謝罪するとともに、事実究明を行い、府民、府職員への説明責任を果たすこと。
  2. 知事選挙という自らの地位にも係る選挙での公職選挙法違反であり、自らの責任を明らかにすること。
  3. 外部委員を含めた調査組織を立ち上げるにあたっては、公平性・中立性が担保された委員の選任を行うこと。

 今回の事件は、公職選挙法136条の2に定められた公務員の禁止行為「その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること」にあたり、公職選挙法に抵触する行為と言わざるを得ません。
 とりわけ、知事選挙において知事の直属の部下である幹部職員が公職選挙法に抵触する行為をした事実は、極めて重大な問題と考えるとともに以下の点についても問題があると考えます。
 第一は、今回のメールが、すべての部局、広域振興局、行政委員会事務局、議会事務局公立大学法人の幹部職員に送信され、「今回で情報提供は終了します。メール及びペーパーは、本日中に完全消去」「ごくろうさんです。最終の演説会の日程表が届きましたので、お手数ですが本日4時から5時半の間に、副部長さんか主管課長さんが、取りにきてください」というメール中の文言を見ても、地位と行政組織を利用した系統的、組織的な問題であること。
 第二は、本来公正・中立であるべき行政委員会の幹部職員にも送信されていたこと。
 第三は、京都府公立大学法人の幹部職員にも系統的に指示連絡がされていたことは、京都府が地方独立行政法人である京都府公立大学法人に運営交付金を支出していることから利害誘導とも取られかねない重大な問題です。
 第四は、京都新聞9日付けでも指摘しているように、メール等を受け取った幹部職員の誰一人として違法性があることを言い出せなかった職場体質があったということです。職場の多くの警鐘を押し切り強行された今年の5月26日付けの人事異動をはじめ有無を言わせないトップダウンの職場運営が強められていることととも無関係とは言えません。
 第五は、知事の責任です。知事選挙であること、また府の行政組織全体に係る問題であることから、その責任は任命責任にとどまらないことは明らかです。
 府職労連は、上記の今回の問題の核心が曖昧にされることがないよう事実の究明と知事の責任を明らかにするよう求めるものです。
 また、調査委員会の名称が「府職員メール問題調査委員会」となっていますが、前知事室長個人や職員一般の問題にすることのないよう、地位と行政組織を利用した公職選挙法に抵触する問題として扱い、究明がされることを求めるものです。
私たちは、憲法15条に定める全体の奉仕者として、京都府政が府民と職員からの信頼を取り戻すため、この問題の究明と府民本位の府政の推進に全力をあげるものです。